医者の視点
三浦雄一郎さんが86歳にして南米大陸最高峰の登頂に挑み、
最後の最後で登頂を断念し下山したというニュースが
マスコミをにぎわしました。
残念だった、という声もあるいっぽう、
よくぞ下山を決断した、勇気ある撤退だ、という論調が
報道、コメントの主流のようです。
ワタシの視点は微妙に違いました。
このニュースを聞いて真っ先に思ったのは、
同行したお医者さんの心労は大変だったろなあ、ということ。
医者だから思うことですが、
どんな場合にも診断は難しいものです。
まあ、フツーに考えて、心臓に持病のある86歳のおじいさんが
南米に行って6000メートル超の登山をしたい、といえば
ナニ、バカなこと言ってんですが、そんなことムリに決まってんでしょう、
と10人中10人の医者はいうはずだ。
ただ、相手が並の人間ではないことと、
いろいろなスポンサーや支援者からのしがらみからしぶしぶ承諾したのでは。
たぶん、決まった当初から
お腹がぐるぐるするような不安に繰り返し襲われたでしょうね。
極端な話、三浦氏が事前に体調を崩してこの話が無くなっちゃえばいいと思ったかも。
そもそも標高6000メートルの環境では、若いヒトだって何が起こるかワカラナイ。
まして86歳の男性であれば平地でホテルの部屋で寝てたって、
なんかの具合で死んじゃってたって不思議ではない。
もし登頂が成功してもたたえられるのは三浦氏だし、
アタックを許可して万が一取り返しのつかない事態になれば、
ドクターに非難が集中するのは目に見えている。
ドクターはプレッシャーからは解放されながらも、
このドクターストップに関してはことあるごとに思い出すでしょうね。


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