世界のミイラ
さて、ミイラ展の内容です。
場内全面的に写真撮影禁だったので、購入した図録にもとづいて。
ミイラというものは保存された「死体」であって、
その成り立ちは人為的なものと、自然にできたものがある。
最初のコーナーはアンデス、インカのミイラ。
中南米にはもともと古くからミイラを作る風習があったらしい。
それらは死者への尊敬や、復活を願う信仰的なものであったらしい。
腐敗防止の技術なども施されていた。
しかし、スペイン、ポルトガルの侵略が起こった際、
異教徒の偶像崇拝とみなされ、多くのミイラは焼き払われてしまったようだ。
中世以降のキリスト教が行ったことは、
侵略と、殺戮と、略奪の繰り返しであり、
今のISやアルカイダなんてはるかに及ばない破壊行為を世界中で行ってきたのだ。
まあ「時効」なんでしょうけど、彼らは反省してるのかな。
そして、パート2はやはりミイラといえば「エジプト」。
ワレワレの抱くミイラのイメージといえばこれである。
ジャッカルの仮面をかぶったミイラ職人が、
左腹部に切開を入れ、肝臓、腸管、肺をとりだし、それぞれ4つの壺に詰める。
壺の蓋は臓器によって違い、
肝臓はヒトの形の蓋、肺はヒヒの形の蓋、胃はイヌの形の蓋、腸はハヤブサの形の蓋の壺に
それぞれ入れたそうだ。
サル、イヌ、キジだと、桃太郎ですが・・・・。
心臓は最も重要な臓器と考えられたので体に残し、
いっぽう、脳はナゼか臓器と認められずに鼻の孔から掻きだされたらしい。
きっと「天才外科医」みたいにやたらと上手な「天才ミイラ師」がいたに違いない。(^_^;)
そして、第3パートはヨーロッパ。
ヨーロッパのミイラは泥炭地から多く見つかるという。
これは首にロープを巻き付けられた少女のミイラだが、
ほとんどは殺して死体の見つからない底なし沼に放り込んだものが、
無酸素的な環境で偶然ミイラ化したもので、
死者に対する尊敬や再生の思いを託した人工ミイラとは真逆に、
不幸な殺人により、闇に葬られた結果のミイラだ。
つづいてパート4はアジア、オセアニア。
まずはパプアニューギニアの「肖像頭蓋骨」。
さらした頭蓋骨に粘土などで肉付けするもので、
目にタカラ貝を入れるところが、特徴。
たまに巻貝が入っているやつもあって、そうすると(@_@)な感じになる。
そして、日本のミイラ。
これは、江戸時代に埋葬されたものが偶然屍蝋によってミイラ化したもの。
兄弟だそうです。
今回圧巻だったのはコレ。
江戸時代の本草学者が自らの研究にもとづいて己の身体をミイラ化したもの。
後に掘り出して見よ、と言い残して死んだ男は、
110年後にミイラになって発見され、
自らの研究の成果を後世の人に見せつけることになった。
これ、ホント凄かったですよ。
まるで、眠っているかのように見えました。
そして、即身成仏のミイラ。
自分でミイラになっちゃうのは日本特有?
立派なお坊さんだったんでしょう。
92歳という高齢で亡くなったので、ミイラ化しやすかったのではあろうが。
てなわけで、ミイラ展、科学から、歴史、宗教、哲学まで、
はば広い内容の展覧会で、大変見ごたえがありました。


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