マイコプラズマに対する抗菌剤の使用
某製薬メーカーの方が訪問され、
「オゼックス」のジェネリックにも肺炎マイコプラズマの適応追加になりました、
と説明された。
先発品と後発品(ジェネリック)では、
適応症の違いがある場合があり、
成分上全く同じ薬なんだけど、
同じ病名に対し使えない、というワケのわからんことがあります。
ジェネリックにしたらいきなり保健で切ってくるというような、
意地悪な査定をしてくる監査員の先生もいます。
だから、このような措置は当然だし歓迎なのだが、今回はちょっと困る面も無きにしも非ず。
マイコプラズマはいわゆる「セキの風邪」です。
時に重症化することもありますが、多くはそのまま抗生剤なしで治ります。
ところが、セキが出ると
「マイコプラズマかもしれないから」
といって、抗菌剤を出す医者がいるのです。
こちらをご覧ください。
マイコプラズマへ抗菌剤を使用するとすれば
「クラリス」「エリスロシン」「ジスロマック」などの「マクロライド系」が第1選択です。
ただ、近年、マイコプラズマがこの「マクロライド系」の抗生物質に対し、
「耐性化」が進行しているので、
やむを得ず、「オゼックス(一般名:トスフロキサシン)」を使うケースがあるのも事実です。
だが、オゼックスは重症中耳炎、難治性中耳炎のためにわざわざ開発された薬で、
安易に使うべきでない、「切り札」的な薬です。
そもそも外来診療にこのクラリスをはじめとする「マクロライド系」の薬が多用され過ぎたため、
マイコプラズマに対して耐性化が進んだ、という経緯があります。
だから、今後「オゼックス」が多用されれば、
「マイコプラズマ」に対して効かなくなってしまうこと充分起こりうることですし、
肺炎球菌等のその他、中耳炎、肺炎などの起炎菌に対しても
効かなくなってしまう可能性があります。
もちろん、この薬を使うことによって、
重症なマイコプラズマ肺炎が治療できることは大変ありがたいことなのですが、
「マイコプラズマ」だから、
さらには「マイコプラズマの疑いがあるから」
などという使い方は厳に謹んでいただきたいと思います。


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