ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.04.18

ヒゲナマズの逆襲

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 前回のドクター・ホリデイの記事いかがでしたでしょうか?
 さて、そーいえば、こんなことがありました。
 開業して数年たったある土曜日、
その日は学校検診で耳鼻科受診を指示された(いわゆる「ひっかかちゃった」)子供たちで
外来はけっこう込んでました。
 私は、あまり「ひっかけない」方なんですが、チェックの厳しい先生もいます。
 「ったく、この位、わざわざつけなくてもいいじゃん。」などと内心思いつつ
 「ハイ、大丈夫みたいねー。」
と、治癒、プール可にマルつけて、ハンコ押してかえします。
 紙出さないと、プールに入れないのでプール開き前の土曜日が最も混みます。
 
 ・・・・そして、
「ハイ、○○君ですね。こんにちは。小5、鼻炎って言われたわけね。
普段、ハナとか出るの?」
「えー、フツーです。」
 んー、何がフツーなんじゃ。出ないって事?
そこに突然
「ウチ来る時は、ハナかんでるな。」
連れてきた、おじいちゃんとおぼしき男性が、口を挟む。
「くしゃみとかはどうかな?」
「うーん、フツー。」
「くしゃみも出とるんじゃないか。」
またまた、おじいちゃんが入ってくる。
 当院は、親が来ても口がきける子なら、まず子供に話を聞く方針だ。
そもそも、周りが口出すから、ちゃんと会話が出来ない子になっちゃうんじゃないか。
 全く最近の子供ときたら、何を聞いても
「フツー」と「ビミョー」と「チョー」の三択で答えやがる。
 それにしてもこのおじいちゃん、作務衣とか着て、変わった感じだし、
何となくさっきからだんだん、こっちのほうに近づいてくるなー。
大体、一緒に住んでるわけでもないみたいだし、
無視して患者さんに、集中しよう。
「はい、じゃあ、ちょっとハナ診てみましょう。あー、ちょっと、悪いかもね。
副鼻腔炎があるかもしれないなー。」
と、その時、そのおじいちゃんがささっとオレのところに近づいてきて
「こんにちは、サクライです。ご無沙汰してます。」
と、囁いた。
 え、サクライ?ゴブサタ?
も、もしかして、往復ビンタの「ヒゲナマズ」!?
 と、びっくりしておじいちゃんの顔を見ると、ニヤニヤしてるその顔は
紛れも無く、元担任のサクライ先生だったのだ。
あの、往復ビンタの。
「あ、ど、どうも、ナマ、いや、サ、サクライ先生。
その節は、た、大変お世話になり、その後、私も医者になって、耳鼻科で、いや、その。」
突然の事に、アタマん中が真っ白になって、自分でも何言ってるかわからない。
「じゃ、じゃあ、レントゲン、撮ってみましょうか。」
といって、あわててレントゲン室へ逃げ込んだ。
 いやー、あせったあせった。
 結局、その子は副鼻腔炎が見つかり、薬で治療することに。
 そして、診察後、急いで薬局に電話をいれる。
「おー、コミネ、大変だ。ナマオが来たぞ。」
「えー、ナマオって、まさか、あのビンタのナマオか?」
あだなの「ヒゲナマズ」から通常は「ナマオ」と我々は呼んでいた。
「もうすぐ、そっち、行くと思うから。気をつけろ。
ナンカ、作務衣みたいなの着てるから。」
「おお、そりゃ大変だ。了解、サンキュー。」
 何に気をつけろってわけでもないんだが、とりあえず連絡してやんないと。
 コミネ君には、あとで、おかげで心の準備が出来て大いに助かったと、感謝されました。
 でも、誤解ないように言っとくと、我々は別にサクライ先生を、嫌ってたわけではありません。
それどころか、とても好きな先生でした。
確かに、おっかなくて手が早いけど、まあ、こっちが悪さして起こられるのは当然だし。
後で、ネチネチ言うとか、えこひいきをするとか、そういうのが一切無く
男らしく、さっぱりした先生でした。
 そもそも、私なんか、その先生の指導のおかげで、
栃木県青少年作文コンクールで、特選がとれたのじゃ。
それで、「作文学習の窓」っていう、県内の小学生向けの作文指導の副読本に
私の作文が載ったのは、
この間の「ドクター・ホリデイ」に私の文章が掲載される37年前の出来事だった。
 今回「ドクター・ホリデイ」に掲載されたのも、今、こうしてブログ書いてるのも、
当時のサクライ先生の作文指導のおかげかも。

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