チューブ留置中の長期間の耳漏
乳児の中耳炎について相談させてください。現在1歳半の男児、0歳から中耳炎を繰り返し、両耳チューブを入れています。チューブ挿入後、半年以上経ちますが、相変わらず中耳炎に1ヶ月に一度はなり、一度なるとしばらく耳だれが止まりません。鼓膜が綺麗な状態なのは2、3日で、またすぐ鼻水⇨耳垂れを繰り返しています。
初め通っていた病院では耳だれが出るごとにガイドラインに沿った抗生剤が出ていましたが、あまりに繰り返す為、毎週抗生剤を飲むことになってしまいました。
今の病院では耳だれがあっても腫れはないから、と抗生剤は飲まず、耳垂れ吸引とリンデロンの点耳をしています。直近の風邪後、耳垂れが出続けて現在1ヶ月近くになろうとしています。果たしてリンデロンの点耳だけで良いのでしょうか。抗菌剤は飲んでいても不安、飲まなくても不安です。
乳児の耳だれが続く場合、何が最善の策なのでしょうか
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チューブ留置してある耳の長引く耳だれ、
以前も実は似たようなご相談に回答したことがあります。
1歳半とのことですが、保育園等には行っているでしょうか。
1歳前から保育園に行くとやはり難治性中耳炎を起こすお子さんは多いです。
その他にもいろいろな要因が考えられますが、
両側性の耳漏だったら、免疫的な問題、
IgGサブクラス欠損症なども念頭に置く必要があるかもしれません。
IgGは免疫を担う物質ですが、
小児の場合、まれにその一部、とくにIgG2が欠損あるいは低値を示す児がいます。
こういったお子さんは、
インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは別物)や
肺炎球菌などの中耳炎の原因菌に対する免疫力が弱く
とくに中耳炎を反復しやすいといわれています。
血液検査でわかりますが年齢とともに回復する場合もあり、
逆に無症状の場合もあるようです。
赤ちゃんの採血は大変なので、この子あやしいなあ、と思うことは時々ありますが、
ワタシ自身、まだ、診断したことはありません。
近い将来、遺伝子診断が普及すれば、もっと多くのことがわかってくると思います。
重症の場合は免疫グロブリン製剤の投与(保険適応外)も考慮されますが
通常は一般的な感染制御が推奨される対応です。
さて、今回のケースですがワタシも延々と抗生剤を内服することには賛成できません。
特にチューブ留置中であれば、局所洗浄は有効な方法だと思います。
また、同時に鼻汁の吸引などの鼻の処置も行えます。
ただ、それでも改善しない場合は、チューブ抜去は検討する余地があると思います。
チューブは「異物」ですので、チューブ周囲には内服の抗生物質は到達しにくく、
チューブについた細菌がバイオフィルムを形成すると、
点耳薬にも抵抗性になります。
基本的には診てないのでこの場合何が最善なのかは何とも言えませんが、
そういう選択肢もある、ということです。
少なくとも、免疫グロブリンよりは先に試してもいいかなと思います。


早々の回答、ありがとうございます。
耳漏がある場合は基本は抗生剤で止める、というのは正しいのですね。
バイオフィルムについては先生のブログ拝見後、耳鼻科の先生に確認しましたが今の所可能性は低いそうです。耳垂れが止まっている期間もありますが、またすぐ保育園から風邪をもらい、耳垂れが続きます。1つ目の耳鼻科では風邪からの中耳炎で耳垂れが止まらないとワイドシリン、メイアクト、オラペネムと止まるまで次つぎ抗生剤を出します。2つ目の耳鼻科は局所洗浄後リンデロンの点耳で様子を見ていますが耳垂れが止まらずもうすぐ1ヶ月になります。局所洗浄、鼻吸引はどちらも処置してくださいますが治る気配がないというか治る暇なく風邪をもらうといいますか。
チューブを入れると薬の服用が減り耳鼻科へ行く回数が減る、と期待していましたが実際は耳垂れ問題で毎日耳鼻科へ洗浄しに行っています。どちらの耳鼻科も見解が違い、何を信じて良いのか…。
IgGサブクラス欠損症は初めて聞きましたが、可能性ありそうです。
先生の耳鼻科が近所にあればいいのにと思う日々です。