ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2014.06.18

チューブ抜去後の中耳炎再発についてのご質問


 

はじめまして。5歳の息子が、2歳頃より滲出性中耳炎で、3歳半で両耳鼓膜チューブ留置とアデノイドをとりました。その後は中耳炎おこさず、1年半でチューブを抜きました。が、一ヶ月後には水が溜まってしまいました。現在、抜いてから二ヶ月です。鼻水はそれ程出ておらず、出てもちゃんとかめています。鼻水がでないのに、何故水が溜まってしまうのですか?1年半たてばスッキリ治ると説明されていたので、今、途方にくれています。鼓膜が薄い所もあると言われました。再留置もひとつの手だと言われましたく。ゴールが見えないのが一番辛いです。将来的には、よくなるのでしょうか?

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このようなご質問いただきました。

 

 

 

 

チューブ留置は確かに滲出性中耳炎の最も有効な治療法ですが、

根治療法ではありません。

 

 

 

 

滲出性中耳炎の原因は中耳換気・排出機構の低下にあります。

 

 

 

 

チューブ留置によって排出機能はよくなりますが、

いわば補助輪をつけた自転車みたいなもので、補助輪を外したのち、

すなわちチューブ抜去後に本来の排出機能が改善してないとまた水が溜まってしまいます。

 

 

 

 

一般には年齢とともに耳管機能がよくなることと、

チューブ留置による一定期間の中耳粘膜状態の改善により

チューブ抜去後には治ることが多いですが数パーセントは再発します。

 

 

 

 

この場合、まず保存的療法で経過を見ます。

 

 

 

 

 

成長による耳管機能の改善、鼻腔の自己管理能力の改善、

また通気などの処置治療ができるようになったことにより治っていく場合も多いです。

 

 

 

 

 

しかし、それでもダメな場合は鼓膜切開、

さらにたまってしまえばチューブ再留置など

となる例も中にはもちろんあります。

 

 

 

 

問題は、中耳に水を溜めたままにしないこと。

 

 

 

 

最近の研究で中耳の換気能力には耳管だけでなく、

側頭骨の含気化が大きくかかわっていることがわかってきました。

 

 

 

 

すなわち、中耳につながる頭蓋骨の骨は成長とともに気泡状の空洞が形成されるのですが

この発育の良し悪しが中耳炎の治り方に大きくかかわっているのです。

 

 

 

 

 

頭蓋骨の発育時期である小児期に中耳に水がたまっていると

この骨の気泡化が抑制され、

大きくなって耳管機能がよくなっも、

中耳換気能が正常にならない場合があるのです。

 

 

 

 

 

また、長く水がたまっていると鼓膜が変質し菲薄化してしまいます。

 

 

 

 

 

このように、後遺障害が残ることは何とか避けたいところです。

 

 

 

 

 

鼻水は出ないとのことなのでアレルギー性鼻炎の合併はなさそうですが、

副鼻腔炎が、隠れていることもあるので注意が必要です。

 

 

 

 

 

そんなわけで、チューブ抜いた後に滲出性中耳炎が再発するのは

一定の確率で「あること」です。

 

 

 

 

今回、頂戴したご質問の中に良い情報が2つあります。

 

 

 

 

 

まず、第一としてチューブ留置1年半の間に中耳炎を起こさなかったということ。

 

 

 

 

 

状態が極端に悪い場合はチューブ留置中も耳漏がオーバーフローして出てきてしまいますので

それがなかったのは少なくとも今後良くなる要素を示唆します。

 

 

 

 

また、もう一つは1年半の間チューブが保持され、自然脱落がなかったこと。

 

 

 

 

これは鼓膜が比較的しっかりしてることを意味します。

 

 

 

 

鼓膜の委縮、菲薄化が高度だと

鼓膜がチューブを支えきれず自然脱落してしまうことがあります。

 

 

 

 

 

鼓膜に一部分、薄いところがあるにせよ、

それならば全体としては鼓膜の状態はそれほど悪くないようです。

 

 

 

 

 

 

ともかく、きちんと治療すれば必ずゴールはありますので

根気よく治療続けてください。

 

 

 

 

 

4件のコメント

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  1. 先生、お忙しい中、お返事ありがとうございました。
    ここしばらくの間、チューブを抜いたことを悔やんだり、息子の耳がこれからどうなってしまうのかと不安だったり、お水が大好きな息子に思う存分プール遊びさせてあげられない辛さだったり、苦しくて苦しくてたまらない日々でした。
    お返事を読まさせていただき、肩の力が抜けるようでした。もう少し長い目で見て、母がどっしり構えなくてはいけませんね。本当にありがとうございました。
    もちろん、診察を受ける先生にも色々わからないことは質問するのてすが、また先生にアドバイスをお願いしたい時は、コメントさせて下さい。
    ありがとうございました。

  2. わたしもチューブを入れていて、もうすぐ抜く予定です抜くのは痛いですか?

  3. コメントありがとうございます。
    入れる時は麻酔をしますが、抜く時は原則無麻酔です。
    でも、一瞬です。
    抜きますね、えいっ。
    痛っ。
    ガンバってください。

  4. はじめまして。8か月の男の子の中耳炎の事でご相談させてください。
    先週急性中耳炎が再発し、かかりつけの耳鼻科医に、「次に急性中耳炎が再発したら1か月以内に飲める抗生剤はもうない、点滴入院になる」と言われています。3月に海外旅行へ行く事が決まっているのですが、旅行先で急性の中耳炎になったらどうしたらいいのでしょうか。耳鼻科医に聞いても、飲める薬はない、というばかりです。高熱が続けばもちろん帰ってくるつもりですが、現地ですぐに小児科医に見てもらうことができるかわからず、帰ってくるまでの9時間のフライト中も解熱剤を飲ませるくらいしかできないのでしょうか。
    今回の急性中耳炎は治っても、次に飲ませる薬がない状態は旅行は諦めた方が良いレベルでしょうか。
    今までの中耳炎歴

    生後3か月 RSウイルスから急性中耳炎になる ワイドシリン1week
    生後5か月 急性中耳炎 ワイドシリン1week→メイアクト1week
    生後6か月 急性中耳炎 メイアクト1week
    生後7か月 2/3急性中耳炎 ワイドシリン1week→メイアクト1week
    2/13 両耳チューブ置換 
    生後8か月 急性中耳炎 オラペネム1week

    初めて中耳炎になって以来、滲出性中耳炎になり、治ってもすぐなる状況でしたのでチューブ置換施術をしました。4歳の兄弟児がおり、上の子は保育園に通っています。家族にタバコを吸う人はおりません。授乳中です。
    旅行までの期間、風邪をひくと厄介なので保育園は休ませようと考えています。
    3月で育休が終わってしまうため、家族旅行は諦めたくないのですが、薬がない状態ですので心配はあります。中耳炎の診断だけで本人はいたって元気で、今までの中耳炎も熱はほとんど出ず耳を手で触っているくらいの症状でした。病歴から、薬が効かない1か月の間の旅行は諦めた方がいいのでしょうか・・・。アドバイスよろしくお願いいたします

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