タイトルの重み、勝負の気合
今シーズンの、浦和レッズのナビスコカップは、終わりました。
2008年Jリーグヤマザキナビスコカップ予選A組第5節
ヴィッセル神戸 2-1 浦和レッズ (ホームズスタジアム)
(前半 1-1)
(後半 1-0)
どんな勝負でも、負けようと思って勝負に臨むことは、まずない。
勝ち負けを争うなら「勝ちたい」と思うのが当然だ。
しかし、その温度は差がある。
「負けてもいいけど、できれば勝ちたい。」
「何がなんでも絶対、勝ちたい。」
「無理せず勝てればいいな。」
「選手生命をかけて、勝ちに行く。」
「怪我しない程度に、勝ちたい。」
「足が折れてもても、勝つぞ。」
勝負に対する、気合、執着は
勝つことによって得られる栄誉の重み、両チームの実力、その他のゲームとのバランス、
選手の性格、監督の気合、スタジアムの雰囲気、
その他もろもろの要素によって決まる。
また、それらは、試合展開によってゲームの途中でも変化する。
本日の試合、そのこだわりは明らかに神戸が勝っていた。
まだ、タイトルどころか、ナビスコの決勝トーナメントの進出したことすらないヴィッセル神戸は
今日の試合に勝つことによって、その可能性が限りなく大きくなる。
到達すべきゴールが見えると、人間は勇気とやる気が出る。
誰だって1000ピースのジグソーパズルを、残り5ピースでやめる人、いないでしょ。
だから、彼らはあきらめなかった。
一方の浦和レッズはどうだろう。2003年にナビスコカップに優勝。
これは、念願のチーム初タイトルであり、
これを契機にレッズは強豪チームと認識されるようになったといっていい。
Jリーグのタイトルは、リーグ・チャンピオン、天皇杯、ナビスコカップと3つあるが
この順に、タイトルの価値が高いといわれている。
そして、レッズは2005年、2006年と天皇杯を取り、2006年にリーグ・チャンピオンを取った。
すなわち、ナビスコは最も、軽く見られている。
そもそも、代表戦でリーグが中断する時に行われ、
出場選手も、代表が抜かれたいわゆる控えメンバーが多い。
そして、アジア・チャンピオンズ・リーグがある。これは、アジアのチャンピオンだから
Jリーグ・チャンピオンと同等、あるいはそれ以上の価値がある、といわれている。
レッズは昨年このタイトルを取り、今年も連覇を最大の目標に掲げている。
もし、ナビスコを、勝ち抜くとこのアジア・チャンピオンズ・リーグとの関係で、試合日程が大変きびしくなる。
「ナビスコも勝ちたいけど、両方勝ち進むときついなー、どっちか狙うとすればやっぱアジアタイトルだなー。」
という考えは、選手、スタッフ、サポーターみんなの頭の中にはじめっからあるはず。
もちろん、私もそう思ってたし。
最終的には、この辺の差なのかなー。
そう、しかし今日のレッズは、もう一個のファクターがあった。
そう、高原のことです。
日本代表を、辞退して、チームに戻ってきたこのエースに、ナントカ点を取ってもらいたい。
これは、レッズサポのみならず日本代表を支持する多くのサッカーファンの思いでしょう。
で、その高原が開始わずか4分で点を取った!
高原も、チームメイトも、場合によってはサポーターも
「あーこれで今日の試合の最大の目的は果たした。」
と、思ったのでは?
つまり今日に限っては、
1.この試合に勝ったところでナビスコ予選を勝ち抜くことは
もはや自力では不可能で、すごく困難なこと
2.かりに勝ち抜いても、それによってアジア・チャンピオンズ・リーグの戦いが苦しくなること
3.ナビスコ・カップは、タイトルとしてもはや、さほど魅力的ではないこと
ということがあってチームの中で
高原選手のゴール>試合の勝利
という不等式が成立してたんじゃないかなー。
でも、今までレッズの応援をしてきて、一番感動したのは
2003年11月3日、雨の国立競技場で、鹿島アントラーズに勝って
チーム初タイトルであるナビスコカップを手に入れた時です。
このことを、ナビスコのありがたさを、みんな、忘れちゃいけないぞー。


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