セミと五円玉
今朝、NHKで全国大会を目指すアマチュア野球チームの話をやっていたが、
今回の話は野球の話ではない。
真剣に見てたわけではないが、番組の展開で
「さて、いよいよ夏の大会シーズンがやってきた。
まずは地方大会の開幕です。」
みたいな、ナレーションとともに
青空に盛り上がる入道雲とセミの啼き声のカットが挿入された。
ありがちな演出である。
そのセミの声が「シュワシュワ」というクマゼミの声だったので、
ああ、これは関西の話なんだなと思って聞いていたら、
次のカットが足利市の市民球場であった。
「あれ?」
気になってよく見ると特集で取り上げられたチームは東京のチームらしい。
してみるとあのカットは東京(または足利)にもクマゼミが増えたということか、
それとも、適当なものどっかから持ってきた拝借映像か。
この夏、関東地方で晴れた日は少なかったので、
ストックにあるイメージ映像を使ったのかもしれない。
ここ関東地方では昼間啼くセミの主体は「アブラゼミ」と「ミンミンゼミ」である。
いっぽう関西では「クマゼミ」が主体。
35年前、大学生のころ夏に友人たちと九州旅行に行き、
その時に「シュワシュワ」と大きな声で啼くクマゼミにビックリしたものだ。
ちょうど熊本だったので「熊本=クマゼミ」という印象が強い。
ところが「クマゼミ」はその版図を東へ拡大し、
調べたところによると約30年前に大阪のセミはそれまで「アブラゼミ」主体だったのが
「クマゼミ」にとってかわられたという。
最近は東京でもちょくちょく「クマゼミ」の報告があるという。
さて、セミは大きな羽を持って飛翔能力が高そうだが、
実は瞬発力はあるものの持久力のない「短距離ランナー」である。
何せ胴体が重すぎる。
トンボがマラソンランナーなら、セミはマッチョな100m走者といったところである。
なので、生息地域の移動は起こりにくく、
「クマゼミ」が東京まで来てるというのはなかなかの脅威である。
以前タモリ倶楽部で東京大空襲でセミの幼虫が絶滅した地域に
比較的飛翔能力の高い「アブラゼミ」は再定着したが、
「ミンミンゼミ」は隅田川を横断できずに、
その地域は「アブラゼミ」のみになったという興味深いレポートがあった。
この話でいろいろ「腑に落ちた」。
「アブラゼミ」は昔からよく飛んできて家の軒先でも啼いていたが、
「ミンミンゼミ」は山には多いが街中には少ない。
ウチは織姫山からわずかしか離れてないので、
「ミンミンゼミ」の啼き声も山からよく聞こえるが、
その姿を家の周囲で見ることはまれである。
夏の終わりに道路に転がってるセミもほとんど「アブラゼミ」である。
だから子供のころやたら捕まえられたのは「アブラゼミ」で、
翅が透明でミドリ色に輝く「ミンミンゼミ」が捕れるとちょっとうれしかった。
しかし、この「アブラゼミ」、
子供たちの間であまり人気がなかったけど、
翅が不透明のセミというのは世界的にもかなり珍しいらしい。
で、「五円玉」の話である。
日本人にとっては、別にありがたい硬貨ではないが、
実は、穴が開いてるコインというのは世界的にも珍しいらしい。
外国人に上げると喜ばれるそうだ。
うーん、「アブラゼミ」≒「五円玉」か。
ただしそのうち関東地方でも「希少種」になるかもしれませんが。


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