サル痘について
コロナ、コロナで目の回るような忙しさですが、
国内で初の「サル痘」患者が出たとのニュースが入ってきました。
数カ月前からWHOが注意喚起をしているサル痘とはどんな病気なのか。
ワタシも知りませんでしたが、ウイルスによる発疹があらわれる感染症。
「痘」とは水疱のできる病気のことで、
「天然痘(痘瘡)」「水痘(水ぼうそう)」などがあります。
英語で「pock」ドイツ語で「pocken」。
ワタシが指導を受けた先生は水ぼうそうのことを
ワッサーポッケンと言ってました。
「wasser」は英語の「water」です、
「サル痘」は、その中で「天然痘」に近いウイルスによる病気のようです。
原因となるウイルスは天然痘と同じ「オルソポックスウイルス」属。
ちなみに水痘ウイルスはヘルペスウイルス族です。
サル痘の症状は、今のところ
皮疹(95%)発熱(62%)リンパ節の腫れ(56%)
疲労感(41%)筋肉痛(31%)咽頭炎(21%)頭痛(21%)
直腸炎/肛門の痛み(14%)気分の落ち込み(10%)
となっています。
潜伏期間は7~17日間。
致死率は天然痘の1~30%に対し、1~10%とやや低いが、
まだまだ確固たるデータは無いようです。
感染経路としては、
①サル痘ウイルスを持つ動物に噛まれる、引っかかれる、血液・体液・皮膚病変に接触する
②サル痘に感染した人の飛沫を浴びる(飛沫感染)
③サル痘に感染した人の体液・皮膚病変(発疹部位)に触れる(接触感染)
ということのようです。
①に関しては「サル痘」の自然宿主は、げっ歯類のようで
リスやネズミ類ですが、サルやウサギも罹ることがあるという。
現時点での主流は、どうも③で、
男性同性愛者の性交渉での感染が95%を占めると報告されているようです。
だから直腸炎、肛門の痛みが多く、
発疹も生殖器周囲に多く見られるということなのだな。
今のところ水ぼうそうに見られるような空気感染は無い、
とされていますので、
感染に関しては、ある程度制御できるのかな、と思いますが、
新型コロナの例を見るまでもなく、
ウイルスは「変異」しますので油断は禁物です。
ところで、天然痘に近いウイルスなので、
天然痘ワクチンはかなりの予防効果があるようです。
発症予防効果は85%といわれています。
ただし、1976年以降日本では種痘は行われていませんので、
昭和50年以降に生まれた方は接種していません。
1959年生まれのワタシは、バリバリ「種痘世代」ですが。
昨日発熱で当院を樹陰した、小学生の兄弟は、
電話で問診後、おなかに発疹があるとのことで、
診察室に入ってもらい診察しました。
診断は皮疹の性状から2人とも水ぼうそうと思われ、
接触歴もなかったことから、コロナ検査はせず、抗ウイルス薬を処方しました。
コロナばっかりで忘れがちですが、
やはり子供は診察しないとダメですね。
サル痘では手掌や足底にも各皮疹が出現することなどが、
水痘との鑑別に有用とされるそうです。
足の裏、診なかったけれど、ま、サル痘でもなかったと思います。(^^;)


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