インフルエンザ検査陰性
インフルエンザは猛威をふるい、A、Bがほぼ互角に戦いを続けている。
別経路での感染で、兄弟や親子が同時に一方がA型、他方がB型罹患、
というパターンも何例か見ました。
こういうとき、インフルの迅速キットは有効だなあ、と思う。
さて、キットで陽性が出ればバカでもチョンでも(!)
インフルエンザの診断ができるわけだが、
問題は「陰性」の場合です。
この場合は頭を使う必要がある。
患者さんの症状、家族や学校、勤務先の環境、年齢、発症からの時間、
その他諸々を考慮する必要があるわけです。
最近のキットは優秀なので、
よく鼻汁を吸引してからグリグリと一番奥までねじ込めば、
発症後まもなくでも十分診断がつく。
発症からの時間が短い場合、翌日もう一回検査しましょう、
ということはあるが、2回目の検査で初めて陽性になったことは
まだ今シーズンは1、2回くらいでしょうか。
また、インフルエンザの検査は陰性だったが
抗インフルエンザ薬を処方した例が一回だけあり、
娘18歳が昨夜から40℃でインフルエンザ検査陽性で、
同伴した父親は悪寒、発熱が始まったところで検査は陰性だったが、
臨床的にインフルエンザと診断し、イナビルを出しました。
これが、子供であれ他の風邪の可能性もあるが、
健康な成人男性でこれほどの全身症状が急激に発症すれば、
家族歴を考慮すれば、
まあ、インフルエンザでしょうと。
もちろん、診断は問診、視診、聴診が重要で、
溶連菌感染などの細菌感染、気管支炎、肺炎の有無、
アデノウイルス、EBウイルス、
乳幼児の場合は急性中耳炎の有無がかなり重要になってきます。
特に小さい子の場合、はっきりした耳の痛みの訴えがなくて
高熱の原因が急性中耳炎ということはしばしばあります。
これらが、否定されれば、あとは対症療法になります。
必要に応じせきや鼻汁に対するクスリ、
解熱剤は全身症状が強い場合に限り、アセトアミノフェンを頓服で。
それらがない場合は、クスリは無しで、
安静と水分補給で経過を見ていただきます。
検査が陰性だと判で押したように
抗生剤を出してくる医者もいますが、これは考えものです。
風邪には抗生剤は無効だし、
溶連菌以外の咽頭炎は抗生剤を使わないのが原則です。
また、検査が陰性なのに、何でもかんでもタミフル出す先生も困ります。
いかに熱が高くともインフルエンザでなければ当然タミフルは何の意味もありません。
予防投与も保険適応ありませんし。
しかし、今までで一番ビックリしたのは、
昨シーズンの流行期に休日夜間診療所で診た患者さんでした。
咽頭痛と発熱で昼間、某医院にかかったがインフル陰性で解熱剤で帰された。
ノドの痛みがひどく唾も飲めないので夜間に受診しました。
診ると、両方の扁桃に膿がびっしりついて腫れあがっております。
急性扁桃炎から扁桃周囲炎になるところでした。
昼間の先生はのど診て何も言わなかったのか、との問いに
内科の先生はのど診ませんでした、との答え。
なんでも、発熱があるといったら、別室に待たされ、
そこに先生が来てハナに綿棒入れて検査して行ってしまい、
あとは看護婦さんが結果を言いに来ただけと・・・・。(@_@)
問診票にはノドの痛みのことも書いたのに
口の中を見てさえくれなかったという・・・。
いくら、インフルばかりと言っても、
医者たるものこういう思考停止になってはヤバいですね。
やはり、医者は「探偵」だと思うので、
常に真犯人を探さなくてはいけません。
しかし、聴診はおろか、口も見ないとは・・・・。
マジか・・・。


コメント/トラックバック トラックバック用URL: