アレルギー検査陰性のアレルギー性鼻炎 その③局所アレルギー性鼻炎
またまた続きです。
さて、第3の病態は、というと「局所アレルギー性鼻炎」です。
これも新しい概念です。
近年海外において、
アレルギー性鼻炎症状を呈す人の中に血液中IgEは陰性だが、
鼻汁中のIgE交代が陽性である症例が、
草木アレルギーやダニのアレルギーにおいて報告され、
「局所アレルギー性鼻炎(Local Allegic Rhinitis:LAR)」
と呼ばれるようになりました。
これはまだよくわかっていないことが多く、
局所のIgE抗体陽性のヒトがいずれは血中IgEも陽性になるのか、
はたまた別物なのかは突き止められていません。
ブタクサやダニアレルギーにあるのなら
スギ花粉症にもあるだろうと考えるのが妥当です。
そもそも、鼻汁中のIgE測定は現行では保険適応に無く、
検査法自体も確立していません。
現時点でできることはアレルギー誘発テストです。
これは、鼻粘膜にアレルギーの原因物質(アレルゲン)をしみこませた小ディスクと、
しみこませていない対照ディスクを置いてみてアレルギー反応の出方を調べるものです。
ワタシが大学病院でアレルギーの専門外来をやっていたときには
ルーチンで行っていた検査ではありますが、
日常の外来でやるにはなかなか手間と時間がかかります。
そもそもダニとブタクサなどは市販の検査ディスクあるのですが、
スギに関しては検査用のディスクが市販されていません。
ワタシが大学病院のときは対照ディスクに
皮内反応用の注射液をしみこませて代用していました。
かつてはLARの概念がありませんでしたから、
先に皮内反応か血液検査で陽性になったヒトに誘発テストを行っていたので、
それらの検査で陰性で誘発テスト陽性の患者さんを経験したことはありません。
今後、この病態についての解明が進むでしょう。
このLocal Allegic RhinitisはLARと略されるのですが、
「エル・エイ・アール」ではなく「ラ―」と発音する先生もいるようで、
学会で聴いたときはじめ何のことかワカリマセンでした。
その時思い浮かんだのが、昔々のテレビ番組「宇宙猿人ゴリ」。
ハリウッド映画「猿の惑星」の大ヒットに便乗して日本で作られた子供向けの特撮番組。
地球を侵略する宇宙猿人「ゴリ」の手下の名前は「ラ―」。
「ゴリ」と「ラー」で、「ゴリラ」かよ、と子供心にもあきれるネーミングセンスでした。
さて、これで3回にわたった
「アレルギー検査陰性のアレルギー性鼻炎」のお話は終わりです。
それでは、最後にお聞きください。(*^^*)
あー、ナツカシイ。
局所アレルギー性鼻炎のことを考えると、この歌が頭に流れるようになりますよ。


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