アレルギー検査陰性のアレルギー性鼻炎 その①血管運動性鼻炎
当院では花粉症の患者さんには
原則としてアレルギーの血液検査をさせていただいております。
アレルギーの種類と程度を知ることは、
アレルギーの治療の第一歩です。
血糖値や血圧をはからずに
糖尿病や高血圧の治療をする内科医はいませんからね。
これは実にいろんなことがわかります。
スギ花粉症の程度ももちろん、ヒノキアレルギーを合併してるかどうかは
クスリの処方期間に対して重要な情報です。
イネ科などほかの花粉や、ハウスダスト、イエダニのアレルギーを合併してるかどうかで、
日常生活の注意事項も変わってきます。
中には、長年スギ花粉症だと思っていて、ハウスダストアレルギーだった、
なんて方もいらっしゃったりします。
アレルギー検査はIgE抗体という物質を測定しますが、
これが陽性である=スギ花粉症である、というわけではありません。
抗体ができてから、発症するまでにはもうワンステップあるのです。
だから体に抗体ができていても、まだ、花粉症を発症してない人もあるのです。
数年のうちの発症する確率が高いので、マスク等の対策は必要ですが、
この時点では薬を飲む必要はありません。
さて、アレルギー性鼻炎の症状、所見があるのに
スギもヒノキもハウスダストもダニも抗体陰性だった場合はどう考えるべきでしょう。
この場合、総IgEの値にまず、着目します。
アレルギーの原因は、一般に調べる
スギ、ヒノキ、ハウスダスト、ダニ、イネ科やブタクサ類のほかにもたくさんあります。
別の花粉、動物、食物、化学薬品、・・・・・。
個々のIgE値を調べるのにはキリがありませんが、合計値が出ます。
この総IgEの値が高ければ、通常の検査項目ではない
何らかのアレルギーがあると考えます。
ただし、こういったヒトは、実はそう多くない。
ここからが、本題です。
スギをはじめアレルギー検査がすべて陰性で、総IgEの値も低値、
というヒトはどうでしょう?
これは少なくとも3種類の病態が想定されます。
一つは「血管運動性鼻炎」。
これは簡単に言うと鼻粘膜の「過敏症」です。
ワレワレはハナミズを出そうと思ってハナミズを出すことはできません。
くしゃみや鼻閉も同様で、自分の意志ではどうにもなりません。
これらは「自律神経反射」によるものです。
誰でも寒いところでは鼻水が出たり、
コショウなんかを吸い込むとくしゃみが連発で出ます。
血管運動性鼻炎のヒトは、こういった自律神経反射が過敏で、
ちょっとした刺激や、気温、気圧、湿度の変化に対して鼻炎症状が出てしまいます。
春先は特に季節の変わり目で、環境の変化が激しいので、
ちょうどスギ花粉の時期に鼻炎症状が出る、という方にはこのような場合があります。
環境の変化を受けにくくするためにマスクは有効ですが、
スギ花粉症のヒトのように次の花粉に備えて薬を飲み続ける必要はなく、
頓服的な飲み方で十分です。
さて、だが、これだけではないことが近年わかってきました。
次回に続きます。


[…] 前回からの続きです。 […]