ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.08.10

「できる」患者、「できない」医者

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 昨日のブログに書いた、Sさんが、日曜日の朝、診察に訪れる。
 「昨日は、すいませーん。」
 「今日は、どうですか。」
 「まだ、熱が高いです。」
 「じゃあ、診てみようねー。」
 案の定、中耳炎は無い。
まあ、内科・小児科の先生に耳の診察をさせるほうが無理な話なので
この結果は、もちろん想定内です。
 で、のどを診てみると、ありゃりゃー、やっぱこりゃ溶連菌かもなー。
実は、これを怖れていた。
 溶連菌感染は、扁桃腺が腫れるわけだが、耳のほうに痛みが放散するので
昨日の電話で、熱が高く、耳とのどが痛いが、鼻・咳はない、と聞いたとき
かなりの確率で溶連菌感染を思い浮かべました。
 検査をしたら、やっぱり「陽性」。
 よかったねートミロン飲まなくて。
 
 溶連菌は抗生物質を先飲んじゃうと、検査しても正確な反応が出ないので、
溶連菌だかなんだかわかんなくなっちゃいます。
 一方、溶連菌は、抗生物質がよく効くのでトミロンなど抗生物質をのむと、症状がすぐよくなる。
しかし、菌が完全に除菌されるまで10日から2週間かかるといわれてるので、
その間は抗生物質をのみ続けなきゃならない。
 症状がよくなったからといって薬をやめて菌が残ると、
慢性扁桃炎や、慢性腎炎、掌蹠膿疱症なんかになっちゃうことがあるわけだ。
 
 耳鼻科医や「できる」小児科医が診れば、のどの所見から推測されるので
まず、薬を飲む前に検査をします。
 困るのは、今回の例もそうだが、まず小児科なんかで
「熱があるので、抗生剤」
なんてコトで、なんも考えずに抗生物質が出ちゃったりする場合。
 で、今回は、検査をして、バッチリ「溶連菌」出たので
抗生物質を2週間飲むことになりました。
 しかし、そういった意味では、今回のSさんは、「患者として、できる。」
Sさんいわく
そもそも、「中耳炎」という、内科医の言葉を信じるとしても
「トミロンはないですよねー、と思った。」
おおーこれはますます「できる」!
 そのとおり、トミロンは急性中耳炎の第一選択薬ではありません。
 なぜなら、グラム陰性菌には、よく効くが、グラム陽性菌には弱いから。
耐性インフルエンザ菌が出たときは、第一選択ですが、
肺炎球菌にはやや劣ります。
ちと専門的な話になっちゃいました。
 でも、ケフラールやセフゾン、ラリキシン、リカマイシンよりは、まだましか。
しかし、こういった「患者さんにかえって害を及ぼす」薬を出す医者、まだ多いです。
 かくして耐性菌は増え、医療費は上昇する。
 
 それにしても一番の話題は
 「昨日のロスタイム、あれはダメですよねー。」

1件のコメント

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    その節は大変お世話になりました。
    おかげさまで翌日の朝には熱も下がり、無事に出かけることができました。
    本当にありがとうございました。
    これからもよろしくおねがいします。

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