ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2017.03.17

声がれと大動脈りゅう

 

今週の「ためしてガッテン」で解離性大動脈りゅうの話が放送されたそうで。

 

 

 

 

 

 

 

先月末の風邪を引いた患者さんが、また再診でやってきて、

まだ、喉がスッキリしないですが、という話から

放送内容を知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その方は中年の男性の方なんですが、数年前当院で声がれから

左反回神経マヒが発見され、総合病院に精査を依頼、

結局は問題になるような原疾患はなかった、という方でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

反回神経マヒ自体は耳鼻科医であれば研修医でもすぐ発見できる病気です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

症状は声がれですが、いわゆるダミ声ではなく、

息がもれるようなかすれ声、倍音が混じるヒーヒー声が特徴です。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、のどの違和感や、モノがむせやすいという症状で発見されることもあり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

重要なのは反回神経の経路が長いのでのどとは別の場所の病気で起こることがあるということで、

①胸部大動脈りゅう ②肺がん、食道がん、縦隔腫瘍 ③甲状腺がん

の3つは除外診断をする必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その他、術後性は比較的多く、これは全身麻酔の挿管による間接性のものと、

甲状腺の手術による直接性がありますが、これは問診ですぐわかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

術後性でない多くは、明らかな原因がわからない「特発性」と呼ばれるものですが、

以上3つの病気はいずれも命にかかわる病気であるため精査をするのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ありふれた症状である「声がれ」が

恐ろしい病気の初発症状である、といことがミソですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみにワタシ自身が「声がれ」で受診した患者さんから

「肺がん」や「甲状腺がん」を見つけたことはわりとありますが、

「胸部大動脈りゅう」があったのは1回だけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時は、まだ病院勤務だったのですぐ胸のレントゲンが撮れたので、

ちょっとまずレントゲン撮ってきて、といって、

戻ってきた写真見たら胸部大動脈りゅうがあり、あわてて外科に紹介しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回の番組は見ていませんが「ためしてガッテン」では

前回、糖尿病の件でまずったので

今回は多分よく局側がチェックを入れてたみたいですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 患者さんが帰ったあと、スタッフが

「そういえば、朝来たおばあちゃんも

ずいぶんと声がれの心配してましたから、番組見たんじゃないですか?」

と一言。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ、そういえば、そんな人いたなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やはり医療番組のチェックは必要ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明日は土曜日、そんな声がれのヒトが何人か来るかも。

 

 

 

 

 

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