ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2017.02.02

検査で陰性

 

 インフルエンザ連続陽性は依然続いていますが、

これだけ流行ってると当然、いろんなところでインフルエンザの診断をするわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 最近はキットがいいので、インフルエンザならたいがい「陽性」に出ます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 では「陰性」だった場合どうするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは、頭を使わなけれなばなりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 患者さんの症状、所見、発症からの経過、周囲の状況、予防接種の有無、等を総合して

判断を下すわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 明らかに、家族内感染が疑われる場合は抗インフルエンザ薬を処方することもありますが、

投与せずに様子を見ることも多いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 インフルエンザはタミフルやリレンザを使わなければ治らない病気ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 逆に、陽性でも全身状態や、発症からの時間経過で抗インフルエンザ薬を使わないこともありますが、

こちらは使う場合が多いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 インフルエンザは本人の問題とともに周囲への感染拡大の問題があるからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 インフルエンザキットで陽性反応が出た、ということは、

ウイルスが外に出ていて、周囲にうつす可能性が高いということです。

インフルエンザキットの反応は定性反応ですが、

陽性までの時間や反応の強さである程度定量的な判断をすることができます。

要するに反応がすぐ出てクッキリしてれば、それだけ人にうつしやすい、ということ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、熱だけ高く、周囲にはインフルもいない、という場合、

解熱剤の屯用だけで経過を見ることがほとんどです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もちろん、溶連菌感染や、急性中耳炎などの除外診断をした上です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 熱が高いときインフルエンザ検査が陰性だから抗生物質を出す、

という選択はまず、あり得ません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 溶連菌以外の上気道感染はほぼウイルス性ですので抗生物質は無効ですので

薬なし、あるいは対症薬のみで経過を見ることになります。

大人だと漢方薬などを使う場合もあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 のどが赤いから、抗生剤、というのも乱暴です。

溶連菌感染症の場合はペニシリン系で10日間の除菌が必要で、

抗生物質を飲んですぐ熱が下がったのでクスリやめたが、また熱が出たとか、

家族が熱出して溶連菌感染症だったことがわかった、などというのは時々見ます。

まず、抗生物質を飲む前に検査が必要です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最近、医療関係者で、インフルエンザにかかった可能性があるので、

検査陰性でもタミフル飲んじゃった、という人が2人ほどいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これって、どうなんですかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 細菌感染の場合は抗生物質を多用すると、細菌叢の耐性化が起こり、

いざ抗生物質の必要な時に効かなくなって困る、ということは

日常、よく経験しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 抗生物質イッパイ飲んでた子の中耳炎はホントなかなか治らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 インフルエンザウイルスの耐性化は、

細菌の耐性誘導とは違うので、

抗ウイルス剤の多用は必ずしも耐性誘導につながらない、という話もあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でも、鳥インフルエンザがヒトヒト感染を獲得した時に、タミフルきかなかったら怖いし、

世界の大半のタミフルを消費している我が国の医療関係者はよく考えて使うべきだとは思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それにしても、医者にかかってインフルエンザ検査陰性でこの薬が出ました、と見てみると

クラビット100mg3錠、ロキソニン3錠、PL顆粒3包を1日3回内服、

発熱時にカロナールを頓服、

という、ツッコミどころ満載の

思わずアタマがくらくらしそうな処方をする先生がいたりするのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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