ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2012.04.20

足利医師会学術講演会から

 昨日は診療終了後、足利医師会の主催する学術講演会に行ってきました。
 演者は石川県の小児科医の吉田均先生で演目は
「小児上気道炎~見直しませんか、いわゆるかぜ薬~」
というものであった。
 内容は幼小児の風邪に関して、
抗生剤、咳止め、抗ヒスタミン剤、気管支拡張剤、解熱剤は
効果が無いばかりでなく治癒過程を遅らせ
合併症を招く恐れもあり使うべきではない、
という主旨のお話であった。
 良く言ってくれました。
 日々ワタシが考えてたことがそのままの内容だったので、
自分に対して大いに勇気づけられるような講演でした。
 ただし、ご本人も言っておられたが、
患者さんの家族に対する説明は非常に苦労すると。
 確かに、熱があって来院し、
中耳炎、インフルエンザ、溶連菌などが無ければ、
「これは風邪ですね。」
と言って、薬なしでお帰りいただく。
(当院では基本的にはそうしています。)
 すると1,2日で熱が下がり、
ああ、この子の免疫力で風邪が治ったなと親御さんは思う訳です。
 一方、病院にかかり
「これは風邪ですね。」
と言って、抗生剤はじめ多くの薬をもらって帰る。
 そして1,2日で熱が下がると、親は、
ああ、もらった薬のおかげで熱が下がったな、と思うのでしょう。
 お医者さんに対し感謝の念が強いのはどっちなのかなあ。
 あそこの先生はたくさん薬出してくれるので、いい先生だなどと思うのでしょうか。
 少なくとも薬出しちゃう方が簡単だし、
病院的にも儲けは多いわけですね。
 風邪に薬がいらないということを説明するのも大変だし、
タダの風邪だと診断をつけるのもそれなりの技術が必要です。
 野口先生のブログで、水いぼの件で似たような話が書いてありましたね。
水いぼについて
 彼も苦労してるようだ。
(また、勝手にブログ引用しちゃいました。)
 昨日聴いた話では経口抗生物質で細菌性髄膜炎は予防できないそうです。
 耳鼻科医として言わせてもらえば、
急性中耳炎も経口抗生物質では予防できません。
 だから、髄膜炎が怖いからとか、
中耳炎になると困るから、という抗生剤処方はありません。
 もちろん熱があるから抗生物質というのも全く意味が無いばかりか
却って耐性菌を増やし治療を困難にします。
 昨日の講演で吉田先生が最後に引用した
ジョンズ・ホプキンス大学のJames.A.Taylor博士の言葉
 「”Doing noting”is often better」
 (何もしない事がしばしばより良い治療である。)
 医者として常に胸に刻むべき言葉でしょう。
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