過去形丁寧語
先月、学会で北海道に行った時のことだ。
泊ったホテルで部屋まで案内してくれたマネージャーの人が
部屋の説明をしてくれた。
部屋のかぎを開けて、
「お部屋、こちら○○号室でした。」
「タオルと浴衣はこちらにございました。」
そう、ナゼか、文章がみんな「過去形」なのだ。
これは、北海道の方言で、丁寧な言葉使いの時に過去形を用いる、
ということらしい。
その存在は北海道までの機内で読んだガイドブックでまさにその日に初めて知ったのだが、
いきなり「実物」に出会うと戸惑う。
おお、これが噂の「過去形北海道弁」かあと思っても、
「お食事はこの下の2階のお食事処で夜7時でした。」
おい、まだ、食ってねえよ。
「お風呂は新館7階の大浴場、夜11時まででした。」
えー、もう終わっちゃたのー。
「非常口は、廊下に出ていただいて右手でした。」
それで、今はどこが非常口なんだよー。
頭で、わかっていても思わず突っ込みたくなる。
で、フト気付く。
これって、ちょっと前に問題になったあの奇妙な過去形コトバのルーツなのでは?
「こちら、ハンバーグステーキの方でよろしかったでしょうか。」
という、アレだ。
ひょっとして北海道から出稼ぎにきて「北海居酒屋チェーン店」とかでバイトする人たちが、
「こちら、函館産イカ焼きでよろしかったでしょうか。」
などと郷土色を出してみたのが原因だとか?
なんてことを、夕食を食べながら妻に言ってみると、
「さあねー、英語でも丁寧語の時は『Do you want to~?』を『Would you like to~?』っていうから、
過去形にはそういうニュアンスがもともとあるんじゃない。」
なるほど「丁寧、上品な表現」≒「はっきり言わない、曖昧に言う」という図式は確かにある。
ともかく北海道では「若者言葉」でも「誤用」でもなく、
キチンとした人がキチンとした場所で使うれっきとした丁寧語なのだ。
しかしなあ、だからと言って、
「こちら、小樽港から直送の新鮮なお刺身でした。」
・・・・って、これ、もう時間がたって 今はもう新鮮じゃないのかー?
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