ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2011.04.03

PTSD(Post Traumatic Stress Drug)?

 筑波嶺(つくばね)の 峰より落つる スギ花粉
   ちりぞつもりて 山となりぬる

  【解釈】筑波山の峰の方から飛んでくるスギ花粉が積もり積もって山のようになったことだ
  【解説】震災後の原発事故の放射能騒ぎで、茨城県筑波山の方では
      黄色く積もったチリが放射性物質か、と問題になったが、
      実は山から飛んできたスギ花粉であったという。(実話)
      「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形で「ぞ」の結び。
      <用例>風の音にぞおどろかれぬる
          花ぞ散りぬる
          (よって)鼻がぬるぬる


 桜の花が咲きだしてスギはもうあとちょっとかなあ、
でもヒノキがあるしなあ、という今日この頃。
 めっきり気温が上がり、S2000をオープンで走りたいが、
家族に花粉症がいるのでダメ。
 我が家の車は2月からずっと窓も開けず、
エアコンも内気循環である。
 さて、当院では様々な花粉症の薬を使っています。
 そこら辺の市中病院よりは はるかに多く、
大学病院よりも多いかも、というのは
オレがアレルギー性鼻炎薬オタクだからだ。
(調剤薬局には負担かけてますかね。)
 しかし、数あるアレルギー性鼻炎の治療薬の中で唯一といっていいほど
ワタシが処方しない薬がある。
 一般的には結構出てる薬だが、そのワケは・・・。
 実はワタシ、大学病院時代、専門はアレルギー性鼻炎で、
アレルギー外来を担当していた。
(群馬県で初めてスギ花粉を測定したのはこのオレなのだ。)
 そんな頃、ある製薬会社から新薬の治験の依頼があった。
 新薬が世に出るためには、フェイズⅠからフェイズⅢまでの段階的試験がある。
 そのうちフェイズⅡ、フェイズⅢの治験の一部を担当した。
 具体的には患者さんに説明と同意を得たのち、
新薬と偽薬を用いて薬の効果を調べる実験である。
 原則的に他の薬剤は使わず、単剤で行くわけだ。
 新薬だからきっとすごく効くんだろうなあ、
などと思いつつ、患者さんにもそんな思いを含めて説明し、
実際に試してもらった。
 しっかし、これが、効かね~!!
 薬を出した相手の誰に実薬で、誰に偽薬かはこっちにはわかんないんだけど
(これを二重盲検試験という)
ともかく みんなハナぐじゅぐじゅ。
 それでも、す、すいません、もう1週間ナントカ飲んでください、
と平身低頭でお願いする。
 今思えば、その年は花粉も多かったし、
いかに効く薬でも、マスクやその他の防御をしないと
症状を抑えられないのは当然なのだが、
期待した分、(あるいは患者さんに期待させた分)
ワタシの中でその薬の印象は非常に悪いものになった。
 それでも、治験成績集計の結果、
薬剤の有効性が認められ、
その薬はその後晴れて世に出たわけだが・・・・・
 ・・・・未だにオレとしては処方できないんだなあ。
 その薬の名前は・・・・・
  ・・・・・・・・・・・・・
 いや、さすがにここには書けないので、
知りたいヒトは個人的には教えてあげます。
 誤解無きよう、もちろん、アレロックやザイザルほどではないけど、
リザベンなんかよりはちゃんと効く薬ですよ、一般的には。
(リザベンをケロイド以外で処方する先生は、さすがにもういないだろうなあ、)
 ただ、オレにとっては「PTSD(Post Traumatic Stress Drug)」なのだ。
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