ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2010.09.08

噂のホメオパシー


 ホメオパシー、最近話題になってます。
 なんか、病気のエキス(?)みたいなものを
すっごく薄めたやつを「砂糖玉」に浸み込ませた
「レメディー」と称するものを飲むのだという。
 すると「自然治癒力」がアップして、
病気が治るらしい。
 そんなん、
めちゃくちゃインチキに決まってんじゃん。
 このホメオパシーを信奉する助産師さんが自己判断で、
新生児に当然投与するべきビタミンKを投与しなかったため
死亡事故につながり問題になったらしい。
 死ななくてもいいのに亡くなってしまった赤ちゃんは気の毒だし、
ご家族の悲しみ、怒りがどれだけのものかと思うと
本当に心が痛みます。
 まあ、野球選手がつける首輪や、
最近ゴルフ選手が手にはめてるリングは、
効果が無いことは承知の上でファッションでつけてる人が多いとは思います。
 安産のお守りや、家内安全のお札や、
魔よけの鈴や、占いや、風水もみんな同じ。
 意味や効果は無いけど、まあ、気休めみたいなもんだ。
(オレが浦和の試合があるとき必ずはく「赤いパンツ」みたいなもんだ。)
 しかし「ホメオパシー」のように「医療関係者」が、
明らかに効果が無いものを、効くように宣伝するのは問題だ。
 げに、医学の進歩を妨げるのは、
皮肉にも我々生物が生まれ持った「免疫力」、
つまり「自然治癒力」だ。
 まったく効果が無い薬を飲んでも、
場合によっては治癒に逆行する治療をしても、
ある程度は、人間の体はちゃーんと治ってくれる。
 それを、この治療のおかげで治った、
と誤解する、医者や患者が医学を誤った方向に進めてしまう。
 実際にもいるんですけどね。
 体がだるいからといって、ビタミン剤の点滴をしたり、
熱があるからカゼですねといって抗生剤を出したり、
細菌性の胃腸炎に下痢止めを出したり・・・・。
 でも、そんなことをしても体はちゃんと治っていく。
 ビタミン剤の点滴で体が元気になるはずないし、
カゼのウイルスには抗生剤は無効だし、
感染性の下痢にロペミン使っちゃダメなのに。
 ただ、ホメオパシーの場合でヤバイのは、
ホメオパシーやってると、
他の治療薬はいらない、いや使っちゃダメ、
といってるところだ。
 それが、まさに直接今回の悲劇につながったわけだ。
 一億倍に水で薄めた病原物質が、自然治癒力を高めるなんて、
あまりにも荒唐無稽で、ちょっと考えればわかりそうなものなのに。
 ホントに、加持祈祷、まじない、新興宗教の世界だわ。
 それに医学的根拠があるかのように装ってるところが、
罪深いですね。
 ためしに「ホメオパシー」でググルと、
いっぱい怪しいの出てきますねー。
 まだ、やってるんだ。
 少なくとも不幸な被害者を二度と出さないように、
各方面から啓蒙していきたいですね。
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