レディア物語(第2話)
「ええと、柴犬で、小さめの、豆柴って言うんですか、そういうのがいいです。」
「正式には豆柴って種はないんですが、まあ、小さめの柴ちゃんですね。」
3月末、我々夫婦はペットショップにいた。
「オスメスのご希望は?色はどうされます?」
「ええと、オスでもメスでもいいです。色ってどうなんですか。」
「柴犬には『アカ』『クロ』『シロ』があります。一般的な茶色のことを『赤柴』っていうんですね。」
「赤、赤、赤、赤だよな、やっぱ。
それにしても赤、黒、白なんてまんま『浦和レッズカラー』じゃん。
でもそっから選ぶとすれば 赤 だな。」
(常に私の選択基準は色に関してはシンプルだ。)
「じゃあ、それでお探ししますね。」
といって、待つこと数週間。
見つかった、との連絡を受けてペットショップに向かう。
「柴犬をお願いしていた小倉と申しますが。」
「あ、はいはい、ちょっとお待ちください。」
どきどき どきどき どきどき。
「こちらのワンちゃんでいかがでしょう。」
!おお、ちっちぇえー。
連れてこられた犬は、ほとんど手のひらに載る大きさだった。
しっぽを丸めておびえてプルプル震えていた。
「女の子ですよ。」
なんか子犬っていうと、しっぽピンピン振ってぴょんぴょん飛びついてくるイメージだったので、
こいつ、大丈夫か、という気もしたが、ダメだという理由もないし、
まあ、こんなものなのかな、と思って、決定。
ケージ、餌の皿、水飲みボトル、ペットのおもちゃ、首輪、ペットフードなど言われるままに一式購入し、
飼育の注意、予防接種等について、一通りの説明を受ける。
「もし何か不都合がありましたら一か月以内でしたら、別のワンちゃんに交換ができます。」
その時は、ふーん、と聞き流していた。
かくてみずきの10歳のバースディ・プレゼントとして我が家に犬がやってきた。
さてうちに帰り、ケージをリビングに据え付けて、
水飲みボトルも高さを見ながらセットした。
子犬は、ケージの一番隅に体がめり込むくらい張りついて、怯えていた。
我々が犬の方に近づこうとケージの裏に回ると、避けるようにすたすたと反対側に移動する。
こいつ、ほんとに人になつくんだろか。
(寒さ対策で新聞紙を張りめぐらしたケージ)
名前は、家族で相談の末「レディア」に決まった。
浦和レッズのマスコットのレディアは男の子で、フレンディアちゃんという彼女(いまは奥さんか)がいるが、
語呂が悪いので「レディア」で行こうということになった。
しかし、この先、とんでもない事態が待ってたのであった。
~波乱の最終回に続く
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