ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.02.26

よくみて、よく考えよう

 いや、インフルエンザすごいですねー。
今日午前中だけで、陽性者10数人!すべてB型!
しかし、そのほかに、中耳炎や溶連菌感染症も、それぞれ数人、混在。
 先日、小児科のS先生と話しをした時、S先生が
「最近の若い医者は、所見をみて診断する能力が落ちている。」
と、いってました。
 近年、迅速検査の普及で、診断の方法が変わってきました。
すぐ、その場で答えが出ます。
 以前S先生に、なんで耳鼻科医は中耳炎の所見がわかるの?ときかれました。
 わたしの答は
「鼓膜切開するからです。」
というものでした。
 外から見てあれこれ考えて、お母さんにも説明して、それで鼓膜切開すると答あわせが出来ます。
ああ、あの鼓膜の向こうはこうなってたのかー。
そして、経験値が上がり、鼓膜所見と実際の中耳の状態との関係がつかめてくるのです。
 じゃあ、インフルエンザやRSウイルス、溶連菌も、その場で答あわせが出来れば、
診断の訓練になるのではないか、迅速検査でかえって診断力が上がるんじゃないの?
とも思えます。
 S先生に言わせると
「たいしてみもしないで、すぐ迅速検査しちゃうから。」
ということでした。
 なるほど、耳鼻科医が鼓膜切開する前は、何回も鼓膜をみて適応を考えます。
よく診て、考えて、これはしたほうがいいだろう、となったらお母さんにも納得してもらって手術をします。
何せ、人の体にメスを入れるわけですから、慎重にならざるを得ません。
 鼻やのどに綿棒を入れるのは、もっとずっと簡単です。
だから、あれこれ考えるより先に調べてみよう、となるわけです。
 以前はインフルエンザなどはペア血清といって、時間をおいて2回採血し、
その変化を比べなければ正確な診断は出来ませんでした。
 どうも、この辺に問題があるらしい。
 問題集をやって答あわせをするのではなく、先に解答集を見ちゃうみたいです。
 なるほど・・・。
 今日来た患者さん。
わたしではなく、妻が診たんですが、
昨日お昼に熱が出て、のどが痛いといって某小児科を受診。
「熱が出てすぐでは、インフルエンザの検査が出来ないから夕方来てください」といわれ
夕方、再診。
結果、インフルエンザ検査は「陰性」。
「でも、疑わしいのでタミフル飲んでください。」
と言われ、タミフル出たそうです。
不安になったお母さんが、帰って子供ののどをみると、まっかっかで白いポチポチが・・・。
で、本日当院受診。
診断「溶連菌感染症」。
 うーん、お母さんの方が、のどよくみてるんじゃ、ダメだな。
ちなみにこの先生わたしより年上ですから「最近の若い医者は」というのは当てはまらないかも。
 タミフルは飲んでなかったそうで、
まあ、今後インフルエンザにかかることなんかもあるかもしれないんで、とっといて下さい、
と妻が説明してました。
 やれやれ。

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