ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.02.16

花粉症の市販薬(内服薬編)

 
 気がついたら、ブログを初めてはや1年。
昨年の2月15日からなので2年目に入りました。
 300本以上、よく書きました。
読者も次第に増えて、いろいろご意見もいただき、有難いかぎりです。
 さて今日からちょっと花粉症の市販薬、民間療法の話をしましょう。
 第1回は、飲み薬編。
 花粉症の内服薬、病院の薬と市販薬では何がどう違うんでしょう。
 まず第1は眠気の問題です。
市販薬は、その主成分は「第1世代の抗ヒスタミン薬」です。
一般名で言うと「マレイン酸クロルフェニラミン」
病院では「ポララミン」という名で処方されることがあります。
 かなり古くからある薬で、それなりに鼻水を止める力もあるのですが、
相当強力に「眠気」を催します。
その眠気は
「あたかも眠気の底なし沼に、無理やり引きずり込まれるような眠気」で
あまり心地よいものではありません。
 そのため、市販薬にはほぼすべてに「カフェイン」が含まれてます。
いわば「徹夜で眠いので、コーヒーをがぶがぶ飲んで眠気をさます」という感じでしょうか。
 一方、病院では「第2世代の抗ヒスタミン薬」が中心です。
眠気は出るものもありますが、一般に軽く、中には全く眠気が出ないという薬もあります。
この薬は眠くならないので、航空機のパイロットが飲んでもいいそうです。
 ただし、薬の効果と眠気の間にはある程度比例関係がありますから、
眠くないけど、効かないでは困りますし、効くけど、眠くて飲み続けられないのも不都合です。
自分の体質と、症状の強さにあった薬を選ぶことが大事です。
 二つ目は、効果です。
「第1世代の抗ヒスタミン剤」は鼻水を止める効果はありますが、
いわゆる「アレルギー反応」を抑制する効果はありません。
 スギ花粉などのアレルギーの原因物質の侵入に対し、
リンパ球や白血球は様々な化学物質を放出して情報を伝達します。
それによって、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー反応が起こるのです。
 第2世代の抗ヒスタミン薬にはこの「化学物質の放出」を抑制する効果があります。
ただ、この効果は薬を飲み始めて1~2週間後にピークになるので、
花粉症の症状が出る前から飲むとよいといわれています。
すなわち、続けて飲むことによって、薬の効果が良くなる、というこの作用は市販薬にはありません。
むしろ市販薬では連用すると、効果が減弱する、ということもあります。
 また、この作用によって、市販薬では効果のない「鼻づまり」にもある程度の効果が期待できます。
 ただ、鼻づまりはヒスタミンとは異なる、
ロイコトリエンやトロンボキサンという物質によって引き起こされることが多いですから
「抗ロイコトリエン薬」や「抗トロンボキサン薬」を併用するとよりよい効果が得られます。
これらの薬剤は市販薬には全くありません。
 以上をまとめると、
花粉症のシーズン何回か市販薬を飲めば大丈夫、という方はそれでOKです。
しかし、眠気が困る、とか、
シーズン後半に症状が抑えられなくなる、とか、
鼻づまりがひどくて夜、寝苦しい、といった方は、
病院に受診して適切なお薬を処方してもらうといいと思います。
 さて次回は「点鼻薬編」ですよ。

2件のコメント
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