ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.08.18

ケラマから味スタに

 ケラマから16日の朝、島を出て、帰路につきました。
 連絡船に乗り、那覇からヒコーキに乗り、羽田へ。
 そして向かう先は、自宅ではなく、ナント調布の「味の素スタジアム」。
そう、浦和レッズの試合を見るためです。


 2008年J1第21節
    FC東京  0-1  浦和レッズ  (味の素スタジアム)
      (前半 0-0)
      (後半 0-1)


 旅行の疲れもなんのその。
やっぱり、オリンピックはどうでもいいが、この試合は見逃せない。
 達也と高原の2トップ、トップ下は永井。
一方、東京は長友が、北京から帰ってそのままスタメン。
でも、あの鈍重な平山が出てるので、やや安心?
 しかし、前半はペースをつかみきれず。
高原の2回の決定機はポストに一本、クロスバーに一本。
「うーん、完全にワクに、いってますね。」(ワクじゃだめなんだよー。)
 おまけに達ちゃんもクロスバーにあて(こっちは難しいシュートだったが)
前半は無得点。
柔道かなんかみたいにワク3本で得点1みたいにしてくれないか、と思ってしまった。
効果、有効、技ありみたいに・・・。
 後半、いい流れになり、ついにゴール。
相馬のボレー、しびれましたぜ。
1-0の勝利、沖縄から駆けつけたかいがありました。
 これで、FC東京には、4年間負け無し、リーグ戦はこの2年すべて勝ち、
かつてあんなに勝てなかったのがうそみたい。
来年もJ2落ちしないでね、とFC東京にお願いしたい気持ちです。
 しかし、高原が下がって、ポンテが入り、気がつけば
達也、永井、ポンテ、相馬、平川、啓太、(細貝)、阿部、堀之内、闘莉王、坪井、そして都築は
去年と同じメンバーじゃん。
 とゆーことは、新戦力はあまり機能してない?
 
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2008.08.17

ケラマに行ってきました

 お盆休み、沖縄のケラマ諸島、座間味島に行ってきました。
 那覇から連絡船で約1時間、コンビニも空港も無い小さな島です。
実は、去年のお盆休みにここへの旅行を予定してたのですが、
低気圧の接近で船が出ない、とのことで羽田まで行って、引き返してきました。
 今年は、そのリベンジ・マッチです。
 天気予報では、最後まで傘マーク[emoji:v-279]が取れませんでしたが、
ついたとたんに天候が回復し、3日間とも晴れ[emoji:v-278]。
バッチリ、潜れました。
 ケラマは世界的に見ても、有数のダイビングポイント。
 透明度と、魚の種類、数が抜群です。
写真では、ゴミみたいに見えますが、みんなきれいなお魚です。
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 魚だらけです。
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 クマノミちゃんもたくさん逢いました[emoji:e-414]。
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副院長、楽しんでます。[emoji:e-319]
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こんな感じで、白い砂と青い海がどこまでも見通せます。
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ウミガメにも出会いました。
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 うーん、しばらくは沖縄ボケが抜けないかも・・・。

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2008.08.10

「できる」患者、「できない」医者

 昨日のブログに書いた、Sさんが、日曜日の朝、診察に訪れる。
 「昨日は、すいませーん。」
 「今日は、どうですか。」
 「まだ、熱が高いです。」
 「じゃあ、診てみようねー。」
 案の定、中耳炎は無い。
まあ、内科・小児科の先生に耳の診察をさせるほうが無理な話なので
この結果は、もちろん想定内です。
 で、のどを診てみると、ありゃりゃー、やっぱこりゃ溶連菌かもなー。
実は、これを怖れていた。
 溶連菌感染は、扁桃腺が腫れるわけだが、耳のほうに痛みが放散するので
昨日の電話で、熱が高く、耳とのどが痛いが、鼻・咳はない、と聞いたとき
かなりの確率で溶連菌感染を思い浮かべました。
 検査をしたら、やっぱり「陽性」。
 よかったねートミロン飲まなくて。
 
 溶連菌は抗生物質を先飲んじゃうと、検査しても正確な反応が出ないので、
溶連菌だかなんだかわかんなくなっちゃいます。
 一方、溶連菌は、抗生物質がよく効くのでトミロンなど抗生物質をのむと、症状がすぐよくなる。
しかし、菌が完全に除菌されるまで10日から2週間かかるといわれてるので、
その間は抗生物質をのみ続けなきゃならない。
 症状がよくなったからといって薬をやめて菌が残ると、
慢性扁桃炎や、慢性腎炎、掌蹠膿疱症なんかになっちゃうことがあるわけだ。
 
 耳鼻科医や「できる」小児科医が診れば、のどの所見から推測されるので
まず、薬を飲む前に検査をします。
 困るのは、今回の例もそうだが、まず小児科なんかで
「熱があるので、抗生剤」
なんてコトで、なんも考えずに抗生物質が出ちゃったりする場合。
 で、今回は、検査をして、バッチリ「溶連菌」出たので
抗生物質を2週間飲むことになりました。
 しかし、そういった意味では、今回のSさんは、「患者として、できる。」
Sさんいわく
そもそも、「中耳炎」という、内科医の言葉を信じるとしても
「トミロンはないですよねー、と思った。」
おおーこれはますます「できる」!
 そのとおり、トミロンは急性中耳炎の第一選択薬ではありません。
 なぜなら、グラム陰性菌には、よく効くが、グラム陽性菌には弱いから。
耐性インフルエンザ菌が出たときは、第一選択ですが、
肺炎球菌にはやや劣ります。
ちと専門的な話になっちゃいました。
 でも、ケフラールやセフゾン、ラリキシン、リカマイシンよりは、まだましか。
しかし、こういった「患者さんにかえって害を及ぼす」薬を出す医者、まだ多いです。
 かくして耐性菌は増え、医療費は上昇する。
 
 それにしても一番の話題は
 「昨日のロスタイム、あれはダメですよねー。」

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2008.08.10

ロスタイムの使い方

 やっぱり、オリンピックよりはこっちの方が100倍以上重要です。
しかし、諸般の事情によりテレビ観戦。


 2008年J1第20節
  浦和レッズ 2-2 柏レイソル  (埼玉スタジアム2002)
     (前半 1-1)
     (後半 1-1)


 いやー、この結末はさすがにへこみました。
 ロスタイムに永井が決めたときは、娘とハイ・タッチをして喜んだのですが、
最後の失点はいただけません。
 堀之内の寄せが甘かったとか、フランサのテクニックだとか言う前に
ロスタイムの使い方が、相変わらずレッズはダメですね。
 ロスタイムにリードをしたら、後はいかに時間を使うだけなので、
フィールド・プレイヤーの意思統一、マイボールになったら前線へフィードなどせずに
徹底的にキープ。
監督としては選手交代もあったかもしれません。
 ともかく、この手のことは、今まで高い授業料払って散々学んできたんだけどなー。
このロスタイムの使い方が昔から一番うまいのはアントラーズでしょう。
レッズもアントラーズのようなずるがしこさも、ある程度は見習った方がいいのでは。
(すべてのプレーがアントラーズやフロンターレのような汚いプレーでは困りますけどね。)
 まあ、これがリーグ終盤でなかったことを良しとしましょう。
 ところで試合途中(ハーフ・タイム)に病院の電話が鳴る。
なんとHメガネのSさんから
「子供が耳とのどが痛いって、日赤にいったんですけど内科の先生が
中耳炎の初期だからってトミロン出したんだけど、飲んでもいいですか?」
「んー、中耳炎かどうかわかんないから、とりあえず飲まないでいいです。
すぐ、診察しますか。」
「でも、試合ですよね、今もハーフタイムになるのを待って電話したんです。」
「じゃあ、明日日曜日だけど診察します。
痛み止めだけ飲んで、もし何か具合が悪かったら、夜でもいいですから電話してください。
後半、がんばりましょう。」
 Sさんちは、一家挙げてのレッズファン。
皆さんがこういう心遣いをしてくださると、大変助かるのですが。
 ここで一首
「急患の電話で実は困るのは、真夜中よりも試合中なり。」 
皆さん、よろしくお願いします。

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2008.08.08

専門医試験と花火大会と犬

 先週末は足利の花火大会でした。
毎年8月の第一土曜日に行われるわけですが、
実は耳鼻咽喉科の専門医試験も、8月の第一土日に行われます。
 以前にも書きましたが、国家試験に受かって、5年間研修をすると専門医師件の受験資格ができます。
 もちろん、その間に指定された疾患に対する、治療経験、手術経験をこなし、
それをレポートにまとめて、教授のハンコをもらわなければなりません。
たとえば、扁桃腺の手術の術者が何回、喉頭がんの手術の第一助手が何回などというように、細かく決められています。
 それで、過去問の問題集を何回かやって、試験に臨むわけです。
 医師国家試験までは、学生なわけですから試験は日常的に受けます。
 ところが、専門医試験は5年ぶりに受けるペーパーテストなので
久々の緊張です。
 会場は東京で、2日間に渡って行われ、1日目の午前午後が学科試験で、
2日目が口頭試問です。
 私は当時、前橋に住んでましたが、結婚したばかりでした。
今年はひとつ、足利の花火大会を、ぜひ妻と見たい、と思ったわけです。
 そこで金曜日に、前橋を出て東京に一泊し、
試験を受けて、足利に行く。
妻は直接、足利に行っててもらう、。
翌日は、足利から東京に行き、試験を受けて前橋に帰る。
という、スケジュールを計画しました。
 で、土曜日の試験を受けて、夕方、足利へ。
 当時、花火は今よりもっと西のほう(ウチに近いほう)であがってました。
だから、渡良瀬橋、中橋は車両通行止めで
東武駅からは、歩いて帰らなければなりません。
 駅に着くと、もう花火は始まっていました。
「早く、家に戻らねば。」
あせります。
 しかし、当時、橋の上は見物客でごった返し、歩くこともままなりません。
 しかも、試験帰りで、カバンもってネクタイしてスーツ着て[emoji:e-396]
「すいませーん。」
と、浴衣やTシャツの人をかき分けて進むわけです。
「何だ、こいつ」と思われたでしょーねー。
 あっという間に、汗だくです。[emoji:v-356]
 へとへとになって、実家にたどり着きましたが
妻が浴衣を着て待っててくれたので、元気になって、また花火見物に一緒に出かけたわけです。
 さて、今年の花火見物は、犬の散歩をかねて織姫山の上に行ってみました。
昔から、織姫山の上はよく見える、と聞いていたのですが
実際に山から見たのは初めてです。
「うーん、やっぱ、遠くなっちゃってるなー。」
遠いわりに犬がビビりまくるので、早々と帰ってきました。
この時点では、音はなってない。
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  「どーーーん!」
ねえ、もー、かえろー。
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2008.08.07

2008年フットサル第3節 猛暑、灼熱、8月の陣

 午前中、ショーグン小峰が、外来の患者さんに薬を届けにきた時
「おい、小倉、今日のフットサル、早く上がろうな、30分くらい。」
始まる前から、何 弱気なコトいってんだー。


 2008年フットサル 第3節 猛暑・灼熱、8月の陣
 おぐじびレッド・ダイヤモンズ 9-10 コミネアントラーズ (佐野市フット・エナジー)


 しかし、ショーグンの懸念どおり
この猛暑の中、室内開催とあって消耗戦が予想された。
 さて、今回、新たに新戦力。
まずは 前任者は高齢のため参加できなかったが、
今回担当交代により登場した「ザバス関口」。
そして、今回最大の目玉、大型新人「ジャイアント田所」。
 両名を加え、必勝体制のおぐじびレッド・ダイヤモンズ。
 一方、相手には「カセットコンロ岩谷」得意技は大外狩りとショパン(?)。
柔道家兼ピアニストの経歴は、どんだけ役立つのか?
 開始早々、私からザバスへのパス、これをザバスきっちり決めて先制。
 ザバス、やるじゃん。
 見た目は東南アジア系、ムエタイの選手みたいだが
ナカナカ、軽快なフットワーク。
 そして、ゴールを守るジャイアント田所。
得意技は、胃カメラだが、その次に得意なのがゴールマウスを守ること。
何を隠そう、こいつは大学時代ハンドボール部のキーパーだったという。
 そういえば、ボールのスローが、サッカーのキーパーと違う。
普通、サッカーのキーパーはボールを腕を回して投げるが、
こいつは、むんずとつかんで手首のスナップで投げる。
 何しろ、体がでかい。ザバスがムエタイ系なら、こっちはどうみてもプロレス系だ。
家を出るとき奥さんに
「他の人を、壊しちゃダメよ。
と、いわれてきたという。
 ・・・こっちのチームでよかった。
 そのジャイアントが好セーブ連発し、相手の攻撃を封じる間
私が2点目3点目をゲット。
 一方、相手はショ-グンコミネが、メガネを壊し戦線離脱。
 今日は、楽勝か?
 ところが、こちらは選手層がうすかった。
 その後も1点を取って、今日はもうオレはハットトリックしたからいいや
と、私とザバスが下がって、代わって出たのは
メタボ高橋とその息子(?)シャクハチ松枝。
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 この2人、体は、厚いが、戦力的には薄い。
 この時を、チャンスとみた相手は攻勢をかける。
モンチッチ金盛が、巧みな個人技で攻めあがる。
こやつ、疑惑のグァム旅行で、パワーアップしたか?
 一方、わが方は、合コン地獄を脱出したはずの、”婚約おめでとう”ヘリコ堀越は
ナゼカ、ワク外にシュートをはずしまくる。
そうか、ひょっとして結婚式までは中に出してはワクにいってはまずいのか?
 また、パレスチナ塩野は、ボールを持つと、味方がいてもパスは出さずシュートしか打たない。
自爆テロみたいな奴だ。
 一時8-3まで開いた点差は、じわじわ詰められ、第3クォーター終了時で8-6まで。
(ぶっ続けだと疲れるので、ハーフではなくて15分クォーターを4本やるのだ。)
 選手の消耗も激しい。
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 さあ、最後の、第4クォーター、残り15分だ。
 そして、その開始直後、ゴール前の混戦から私が9点目のゴールで9-6。
これで、楽になった。残り10分で3点差なら、いける。
 と、思いきや、ガクッと運動量の下がったわがチームを怒涛の攻撃が襲う。
ハカセが再三、ウラをつき、カセットコンロ岩谷も、謎のフェイントで攻め込む。
当初、鉄壁の守りをしていたジャイアント田所も疲れが出て
立て続けにゴールを割られてしまう。
 だー、疲れたー、もう走れねー、誰か交代をー、と思ってベンチを見るが、
みんな交代したくないので、誰も目を合わせない。
 相手は、メガネを壊してずっと休んでたショーグン小峰が出てきた。
何か、目をしょぼしょぼさせてる。
やはりメガネなしでは、見えないようだ。
 と、思ってる間に、3点取られナント同点に追いつかれた。
 時間は、もう、無い。
 あと、ワンプレーだ。
 と、フリーのショーグンのところに絶好のパスが。
ヤバいっ。
あ、でも大丈夫、こいつは目がよく見えないはず。
すると、ショーグン、ダイレクトでシュート。
げー、ボールはゴールマウスに吸い込まれ、そのままタイム・アップ、劇的な逆転負け。
何でだーーー!
 そうかー、いつもなまじ見えてるから、アタマと体の動きのギャップがあったのが、
うまい具合に補正されちゃったのかも。
本人の試合後のコメント
「よく見えてたら、一旦ボールをとめていたが、よく見えないので、そのまま打った。」
 うーん、なかなか含蓄のあるコメント。
要するに「心眼」ってやつですか。
まあ、別の見方をすれば、「まぐれ」ってコトか・・・。
これから、メガネなしで出ればー。
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2008.08.07

ロックな高校生(あとがきみたいなもの)

 いやー、10回にわたって書き続けてきた「ロックな高校生」、
いかがだったでしょうか。
 これ、ほとんと完全に実話なんですが、こうしてみると結構ドラマチックな話で、
映画の一本も、撮れそうですねー。
 または、これを出版して、一気に文筆業へ転職、なーんて。
 ただし、なんせ、30年以上前の話なので、私の記憶のあいまいな部分とか、
間違って覚えてることもありますので、多少事実と相違する点はあると思います。
 当時の関係者で「いや、実はこうだった。」
などという方がいらっしゃればご一報ください。
 夏は、耳鼻科ヒマなので、外来のパソコンで、患者さんのいない間に
ブログがかけるので、楽です。
 今回書いてて楽しくて、あっという間に書き上げちゃった感じです。
 さて、O君の後日談なのですが、
先日、ライブに来たMちゃんとNちゃんに聞いた話です。
ライブのあと、打ち上げでみんなでスナックに行き、そこでその後の話を初めて聞きました。
30年も前の話になるわけです。
 卒業後、MちゃんはJ大学、NちゃんはF女学院に進学したそうですが(お嬢様ですねー)
バンドは解散したものの友達として交流はしてたそうです。
 で、OはS大に進学してました。
 大学1年の時、いとこのMちゃんに誘われて、OのやつF女学院の学園祭に
一緒に遊びに行ったそうです。横浜まで、2時間もかけて。
 でも、そのときも、Nちゃんのことを好きだともなんとも意思表示をせず、
また帰ってきちゃったそうです。
 Nちゃんに、その時聞いたとこでは
「その時は、もう彼氏いなかったからフリーだったのよねー。」
「告白されて迫られれば、付き合ってたかもねー。」
おおおー、何てことだ。
 しかし、その時一緒に話を聞いたMちゃんのコメントがよかった。
「そっかー、そうしたらひょっとして、あたしとNちゃん、親戚同士になってたかもしれないのねー。」
・・・・なるほど。
 場合によっては、 そういうことに、なりますな・・・。

3件のコメント
2008.08.06

ロックな高校生(第10話)

 市民会館大ホールの、緞帳(どんちょう)。
子供の頃から、「オズの魔法使い」や「群馬交響楽団」や「柿山伏」やなんかで
学校行事でここに来て、この緞帳が上がるのを見たけど
(そのあと、公演が始まってからは、途中から客席で大体寝てたけど)
ステージの側から見るのは、初めてだ。
会場は、暗くて、よく見えない。
1曲目は「ストレンジ・カインド・オブ・ウーマン」。
イントロの、ギターとドラムは直前までナカナカあわなかったけど、
E君、今日は、バッチリじゃん。
よーし、いい感じで始まった。
すると、突然ベースの音が消えた。
どーした、O。
間奏のときに様子を見に行くと、
どうも、シールド(楽器とアンプをつなぐケーブル)のトラブルらしい。
早くナントカしろー。
しかし、女子高のNちゃんの件といい、こいつ、ついてねーなー。
その瞬間、ステージの照明が、ストロボに切り替わった。
パッ、パッ、パッと光が点滅するので、ちょうどコマ送りのように姿が消えたり現れたりする。
O君は、がんばってアンプの前で格闘してるが
何か、コマ送りの動きがドリフのコントのように見えてしまった。(すまん。)
そして、何とか復旧。
2曲目は「ラブ・チャイルド」。
曲後半からの、シンセがポイント。
これも練習では、ナカナカあわなくてギターのEと、キーボードのSはケンカしてたなー。
ボーカル的にはこの曲が一番きついので、これが無事終わって、一安心。
で、最後はオリジナル「オールド・キャッスル~」だ。
大きなミスもなく、全体に気持ちよく演奏できた、と思う。
まあ、緊張してて、あっという間に終わっちゃった感じですが・・・。
コンサートが終わって、来てくれた同級生に
「いやー、よかったよ。」
「カッコよかったじゃん。」
と口々に祝福された。
バンドやってる先輩に
「オメーら、よかったじゃん。打ち上げに、飲みいくか?」
と誘われたが、酒も飲んだことのない我々は
「イエ、今日は遠慮しときます。」
と、断り、じゃあ、また、と別れて、おのおの家路に向かった。
帰り道、また、ロンドンブーツでこぎにくい自転車をこぎながら
この数ヶ月の出来事を考えた。
これでバンドも、一区切り、今後はどうなるだろう。
少なくとも、こんな大きなイベントはないだろう
それより親父も死んで、俺はどうする、どうなる。
来年は、受験だし。
夜の街、一人自転車をこいで行くと、もう息が白い。
そうか、女子高のライブの準備を始めた頃は、まだ暑かったけ。
コンサート会場から、まとわりついてきた熱気を、晩秋の夜風が冷ましていく。
来年、再来年の今頃は、オレはどこにいて、何してんだろうなー、
などと考えながら黙々とペダルを踏む、17の夜でした。
~ロックな高校生 ・ 完 ~
さて、長らくご愛読いただいた、ロックな高校生の巻は
今回で、最終回です。
次回作にご期待ください。

3件のコメント
2008.08.06

ロックな高校生(第9話)

さて、そんなわけで、ついにロック・ボックス当日を迎えた。
朝、友達のお父さんの運転する軽トラで、機材を市民会館に運ぶ。
当時のシンセサイザーはやたら、でかくて、重い。
で、そのあと、一旦オレは親父の四十九日だ。
お寺のあと、昼食になり
親戚のおじさん達なんかに
「これからは弘之君がな、しっかりしないとな、ウン。」
「そうそう、早く、お母さんを安心させないとな。」
などと、肩や背中をドスドスたたかれる。
ウチの親父は酒を飲まなかったが、親戚は結構酒飲みが多い。
法要はナカナカ終わらない。
仕方がないので
「スイマセン、ちょっと用事があるので、僕だけお先に失礼します。」
「おお、何だ、塾かなんかかい?」
「・・・イエ、・・・・ちょっとコンサートが・・・。出なくちゃならないので・・・。」
この小倉のバカ息子は大丈夫か、という親戚の冷たい視線を背中に受けて、お店を後にした。
さて、急いで家に帰って、学生服を着替える。
借り物のロンドン・ブーツを履いて、自転車に乗る。
友人が「小倉が市民会館に出るんなら」と、わざわざ貸してくれたものだ。
この友人、何を隠そうOがふられた、かのA 君がいるバンドのリーダーのT。
長い髪を茶色に染めて、くるくるのパーマをかけたTは
実は、私とはロック仲間で仲がよかった。
しかし、このロンドンブーツ。
こりゃ、自転車乗りにくいわ。
かかとと、前の部分が高く、かかとは10センチもあるので
いわゆる土踏まずのところでペダルをこぐのだが、はまって、難しい。
何回かこけそうになってやっと市民会館に着いた。
みんなはもう集まっていて、すぐリハーサル。
「モニター、どうですかー。」
なんて、PAの人に言われても、今までモニターなんぞのあるステージで演奏したことがないので、
何がどうなんだかさっぱりわからない。
分け分かんないうちに、音あわせが終わり、控え室に。
うわー、ケムイー。[emoji:v-309]
出演バンドは大学生のバンドが1つ、社会人のバンドが2つで、高校生は我々だけ。
まじめな高校生だった我々は、もちろんタバコは吸いません。
控え室はタバコの煙もうもうで、ボーカルの私は、中にいられず廊下で待っていた。
そして、夜7時、ついにステージの緞帳(どんちょう)が上がったのだった。
感動(?)の最終回につづく。

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2008.08.05

ロックな高校生(第8話)

 結局、直接手渡しするのは勇気が出ず、
いとこのMちゃんにお願いすることに。
「まあ、来てはくれるだろうが、そのあとだな、問題は。」
「でも、市民会館の大ホールだろー、かっこいいぜー。」
「そうだよ、誘われれば、その気になるよ。」
さて、その結果は
「おー、O,どうだった?」
「渡した?」
「来てくれるって?」
「・・・ウン、渡してもらった。来てくれるって。」
「おー、やったじゃん。」
「・・・でも、チケット2枚くれって。」
「・・・?」
「・・・彼氏と、来たいって。」
「彼氏ーー?彼氏って・・・。」
「1組のAって奴と付き合ってるらしい。」
「1組って、足高か?」
「そう・・・。」
「ありゃまー。」
「で、そいつ、バンドやってるんだって。」
「バンド、足高で!」
「4組にTっているだろ、ギター弾くやつ。
そいつんとこのバンドでベース弾いてるやつだって、彼氏・・・。」
な、何と、Nちゃんには付き合ってる彼氏がいた。
しかも、同じ高校の同級生で、しかもバンドやってて、しかも事もあろうに、同じベーシストだという。
そりゃ、悲劇だ。
早速、次の日1組の教室までそのA君を見に行った。
「あいつかー。ちょっと、Oよりかっこいいなー。」
「なんか、チャラチャラしてて弱そーだけど、確かに女にモテそうだな。」
「ちょっと、こりゃ勝てねえなー。」
「ウン、負けた負けた。」
(これは、本人には、言えない。)
しかし、そうとばかりも言ってらんない。
本番は、もうすぐで、ここでOが、落ち込んでたのでは、われわれが困る。
「いや、O、元気出せよ。あいつのバンドは、へたくそらしいぜ。」
「そう、ベースは絶対、お前の方がうまいって。」
(これは、でも事実だ。
Tのバンドは、聞いた奴によると演奏はほとんど話にならないくらいのレベルだという。)
「そうだよ、お前のベースは最高だぜ。」
「女なんか、カンケーねーよ。」
「アグネス・ラムちゃんがいるじゃねえか。」
(実は他のメンバーも、彼女がいないので、この結末に少しほっとした面があったりする。
この件について、この間、ライブに来てくれた2人に直接聞いたところによると
ドラムのNちゃんばかりか、
いとこのMちゃんも、OがNちゃんを好きだということは知らなかったそうだ。
つくづく、シャイな奴、O。
でも、Mちゃんも察してやれよ。
そんなわけで、Oの恋は、実を結ぶことなく、ロック・ボックス本番を迎えるのであった。

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医療系をまとめました。
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