ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.08.05

ロックな高校生(第8話)

 結局、直接手渡しするのは勇気が出ず、
いとこのMちゃんにお願いすることに。
「まあ、来てはくれるだろうが、そのあとだな、問題は。」
「でも、市民会館の大ホールだろー、かっこいいぜー。」
「そうだよ、誘われれば、その気になるよ。」
さて、その結果は
「おー、O,どうだった?」
「渡した?」
「来てくれるって?」
「・・・ウン、渡してもらった。来てくれるって。」
「おー、やったじゃん。」
「・・・でも、チケット2枚くれって。」
「・・・?」
「・・・彼氏と、来たいって。」
「彼氏ーー?彼氏って・・・。」
「1組のAって奴と付き合ってるらしい。」
「1組って、足高か?」
「そう・・・。」
「ありゃまー。」
「で、そいつ、バンドやってるんだって。」
「バンド、足高で!」
「4組にTっているだろ、ギター弾くやつ。
そいつんとこのバンドでベース弾いてるやつだって、彼氏・・・。」
な、何と、Nちゃんには付き合ってる彼氏がいた。
しかも、同じ高校の同級生で、しかもバンドやってて、しかも事もあろうに、同じベーシストだという。
そりゃ、悲劇だ。
早速、次の日1組の教室までそのA君を見に行った。
「あいつかー。ちょっと、Oよりかっこいいなー。」
「なんか、チャラチャラしてて弱そーだけど、確かに女にモテそうだな。」
「ちょっと、こりゃ勝てねえなー。」
「ウン、負けた負けた。」
(これは、本人には、言えない。)
しかし、そうとばかりも言ってらんない。
本番は、もうすぐで、ここでOが、落ち込んでたのでは、われわれが困る。
「いや、O、元気出せよ。あいつのバンドは、へたくそらしいぜ。」
「そう、ベースは絶対、お前の方がうまいって。」
(これは、でも事実だ。
Tのバンドは、聞いた奴によると演奏はほとんど話にならないくらいのレベルだという。)
「そうだよ、お前のベースは最高だぜ。」
「女なんか、カンケーねーよ。」
「アグネス・ラムちゃんがいるじゃねえか。」
(実は他のメンバーも、彼女がいないので、この結末に少しほっとした面があったりする。
この件について、この間、ライブに来てくれた2人に直接聞いたところによると
ドラムのNちゃんばかりか、
いとこのMちゃんも、OがNちゃんを好きだということは知らなかったそうだ。
つくづく、シャイな奴、O。
でも、Mちゃんも察してやれよ。
そんなわけで、Oの恋は、実を結ぶことなく、ロック・ボックス本番を迎えるのであった。

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