ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.08.02

ロックな高校生(第4話)

 「じゃあさ、どうやったら、ロック・ボックス出られるかだよ。」
「んー、フツーに考えりゃ、まず無理だな。」
足利、太田、館林といえば、相当な人口だ。
バンドがいくつあるか知らんが、大学生、社会人OKなので、うまいバンドも多いだろうから
バンド暦1年足らずの高校生のガキが出られる可能性は、かなり低い。
「なんか、K楽器にアピールする点がないと。」
「そうだ、E、お前ギター新しく買えよ。」
「そうだよ、お前の4万円のグレコのテレキャスじゃあ、市民会館のステージよえーよ。」
「ああー、そうだどーんと買っちゃえよ。そうすりゃ、考慮されるかも。」
「そんな金なんかねえよ。つーかそーゆーこと、かんけーないらしいぜ。
それより、その件に関しては、もう手が打ってある。」

 「何だよ。」
「1組のAがいるだろ、あいつが8万円のフェルナンデスのレスポール持ってるのよ。」
 「おおー。」
「ちゃんとセットネックのやつだぜ、それをな、もし通ったら貸してくれるそうだ。」
せ、せこい、せこすぎるぞ。
レス・ポールはジミー・ペイジで有名な憧れのギターだが、
もちろん本物のギブソンは新品で当時35万円もした。
だからみんな国産のコピーモデルを使ってたわけだが
安いやつはボルトオンネックといって、ギターのネックがねじで止めてある。
高級品になるとセットネックといって、木材の段階で加工して接着してありすごく弾きやすいわけだ。
最近は、廉価版でもセットネックがフツーだが、当時はセットネックというと「おおー」といったもんだ。
もっとも、今日日の高校生はいきなりギブソンだ、フェンダーだとか買いやがる。
ふざけんなよ、オヤジはおこるぞ。
当時のオレのギターなんて、さらに安い定価3万5千円のグヤトーンのストラトで、
楽器屋さんに注文する時
「いまどきグヤですか、よくこんな安いギターカタログから探しましたねー。」
と言われてしまった。
ま、そんな話はどーでもいいや。
その時誰かが
 「やっぱ、パープルやるんならキーボードいなきゃなー。」
 「そうだ、2組のSどうだ?」
 「あいつ、この間シンセサイザー買ったんだよ。20万以上したらしいぜ。」
 「おおー、シンセかー。」
シンセサイザーは当時まったく新しい楽器として、特にロック界で注目を集めていた。
そのほんの数年前までは数百万円もしたのだが、
20万円前後のモデルがようやく出てきたとこだった。
しかし、まだまだ珍しい楽器でディープ・パープルや、プログレのバンドは使っていたが
例えば、クイーンなんかは当時まだ使ってなかった。
シンセがあるバンド、って言うとそれなりのアピール度があったわけだ。
今でこそ、9800円で当時のシンセの何倍もの機能があるやつが買えるのだが・・・。
で、とりあえずSに打診すると2つ返事で加入が決定。
Sは、やせてて弱そうで、理知的な感じがして、いかにもキーボードプレイヤーって感じのやつだ。
足高のブライアン・イーノといったとこだが、
ルックスはどっちかというとスパークスのメイル兄弟のお兄さんの方のちょび髭を取ったような感じ。
うーん、わかる人しかわかんないっすね。
プログレッシブ・ロックが大好きでイエスなんかを聞いていた。
さあ、そんなわけでメンバーが5人になり、体制が整った。
そしたら、今度はドラムの I がいきなり言った。
「いや、やベーよ。」
「何だ、どーした。」
「いや、俺さ、そのロック・ボックスの日、どうも修学旅行みてえんだよ。」
「げげげ、まじ?」
他のメンバーは足高なんだが、彼だけは私立の高校だ。
修学旅行で九州に行くという。
さて、どうしたものか・・・。ドラムなきゃ、始まんないし。
さて、修学旅行はどうするか。
そして、さらに大きな問題が。
波乱の次回を待て。

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