ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.07.02

やり残した事

 私が医者になってもう25年近くになります。
大学を出て、国家試験に合格し、大学病院や、地方病院で研修し、
その後は、逆に大学病院や、地方病院で、研修医や新人医師の指導、教育を行い
足利の地で、妻と開業してからもう12,3年。
 理想の医療を求めて、やってきたつもりですが、やり残した事もないわけではありません。
 
 国境なき医師団、ていうのをご存知でしょうか。
 何年か前、ノーベル平和賞もらいましたね。世界各地の災害や紛争の起こった地域に行き
ボランティアで医療サービスを提供する、医者、看護師、薬剤師、助産師などからなる医療チームです。
 実は、こーゆーのに、若い時、参加したかった。
 医者の仕事はさまざまですが、患者さんの健康、命を救うこと、
というシンプルな命題に立ち返れば、
そういう場所にこそ、地球上で最も医療が求められているわけです。
 本当は、そういう仕事、やりたかったのですが、
私が高校2年の時、父を急死という形で、亡くしているので
卒業後は、一刻も早くお金を稼いで、家計を助けなければなりませんでした。
母は無職で、弟はまだ学生でしたし、私自身が借りた奨学金の返済もあり、
あまりそういったことに目を向ける余裕はありませんでした。
 しかし、今になって、若いうちに何かやっておきたかったなー、という後悔があります。
 今となっては、開院の銀行ローンの返済がまだ10年以上もあるので、
今の仕事をほっぽり出して、そんなとこに行けるわけもなく、
子供もまだ、学生ですし、
そもそも、私の体力的にも無理でしょう。
 卒業後に、大学院に進んで学位をとらなかったことについては、
これっぽっちも後悔してませんが
(意味のない基礎的な実験で博士号取ったって、医療の何の役にも立ちません。
名刺に「医学博士」ってはいるだけ。そんな時間があれば急患の手術見学した方がまし。)
医者としての資格を、そういった極限的な状況で生かしたかった、ということに対する後悔は
今もあります。
 だから、今でもその後悔を少しでも軽くするために
国境なき医師団に毎月わずかですが、寄付金を払い込み、
自分自身は、急患の電話は夜中でも必ず取るようにしています。

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