2008.03.13
商売柄、よくピアスをあけます。特に3月は、卒業などをきっかけにピアスを開けに来る、若い人が多いですねー。
さて、皆さん。
「ピアスをあけたあと、ピアスの穴から、白い糸みたいなものが出ることがあって、それを引っ張ると失明する。」という話、いわゆる都市伝説を聞いたことがあるでしょうか。
この話、結構有名で、どこで聞いてもたいがいの人が「聞いたことがある。」といいます。
さて、この話の真偽は[emoji:e-3]
お答えしましょう。
「ピアスを開けたあと、穴かな白い糸みたいなものが出ることがある。」→→→「本当です[emoji:v-363]」
「それを、引っ張ると失明する。」→→→「ウソです[emoji:v-363]」
ピアスを開けてしばらくして、穴から白っぽいひも状の物が出てくることは、まれですが、実際にあります。それは、一体なんでしょう。答えは落屑した上皮、簡単に言えば、「垢」です。ピアスを開けて、しばらくすると、穴の中が表皮のようになります。肉の上に皮が張ってくるのです。だから、ピアスを抜いても、穴はふさがらなくなります。これを医学的に「上皮化」といいます。
細胞には寿命がありますから、そういった上皮になった細胞も少しづつ死んで、また新しいものに変わるわけです。古い細胞は、いわゆる「垢」として排泄されるわけですが、普通は、少しづつなので、目にはそれとわかりません。
ところが、うまい具合にそれが堆積するとそれが、ひも状につながって出てくることがあるのです。
体から糸が出てくる。しかも、白い。血管ではないとすれば、神経に違いない。そういえば、ケンタッキーフライドチキンにも似たようなのがあったぞ。何の神経?ひょっとして、目につながっている?
引っ張ると失明しちゃうかもー!戻せ、戻せー。[emoji:e-270]
ってんで、また押し込んだりする。「明日、起きて、目が見えなかったらどうしよー。」[emoji:v-12]
などと考えて、不安な一夜を過ごした人は、100、200人ではききますまい。
大丈夫だから。抜いちまいな。ウチにも2人くらいそういう症状で来た人がいます。引っ張らないように、そーっと来院したわけですが、無造作にピンセットでつまんで引っこ抜いてあげます。
というわけで、この都市伝説の真相、医者でも意外と知らない人が多いかも。教科書や、文献にはありませんからね。知らない人に教えてあげましょう。[emoji:v-218]
2008.03.12
花粉症、多いですねー[emoji:v-356]。今年は、平成17年以来の流行で、カルテを見ると、3年ぶりって方が結構多いです。
さて、タイトルの「セカンド・ウェーブ」、って何のこっちゃ、と思うでしょうが、これは私が勝手に名づけたものです。
花粉症の推奨される治療は、花粉が飛び出す、約2週間前を目安に、いわゆる抗アレルギー剤(現在は第2世代の抗ヒスタミン剤といいます)を飲み始めます。このことによって、アレルギー症状の発現を抑制したり、遅らせたりすることができます。これを、初期治療といいます。
その後、症状に応じて治療をステップ・アップしながら、シーズンを通して薬を飲んでいく、というものです。これと、適切な防御を行うことによって、8割程度の方は、かなり快適にシーズンを送れます[emoji:e-278]。
この治療をするために1月下旬から2月上旬にかけて、たくさんの患者さんが訪れ、2~3か月分薬を持って行きます。よって、年一回しかお会いしない「常連さん」がいっぱいいるわけです。
または、レーザー治療をするために12月~1月に来院する方も多いです。
この方たちの来院が「ファースト・ウェーブ」です。まだ、症状が出てないので、その年の傾向や、飛び始めの予測日を説明し、新しい知見や最新の花粉予防テクニックなどについて、アドバイスをします。花粉症の治療に、まじめに取り組む「よい患者」[emoji:v-290]さんたちです。
さて、現在来られているのが「セカンド・ウェーブ」、第2波です。花粉症の症状が、いよいよ本格化してきたから、病院に来ました、という方たちです。多くは、発症して数日間という方が多いので、すこし強めの薬を出したり、回避、防御をする上での生活上の注意を説明し(多くの方はきちんとした防御をしていません。)、来年は、もうちょっと早く来てね、と、初期治療の重要性を説明します。
この時期からだと、治療開始によって、症状は軽くなりますが、症状を完全にコントロールすることは、困難なことが少なくありません。まあ、毎年花粉症に悩まされる、「普通の患者」[emoji:v-291]さんたちです。
来院日から計算して、およそ花粉飛散の終わりまでの日数の薬を出します。
その次に来院されるのが、私が最も恐れている「サード・ウェーブ」です。
この群は、「まったく治療をせず、根性でがんばってきたが、もう限界だ、何とかしてくれ[emoji:e-270]。」といったスポ根挫折型の方や
「甜茶や、カテキン、サプリメント、鼻に塗る軟膏、漢方薬や鍼、灸、整体、お札やまじない、加持祈祷?」といった、あまり効果のはっきりしないモノに頼ったがダメだったという、民間療法破綻型。
(ちなみにこの手のものの中で、唯一ヨーグルトだけはエビデンスがあります。別にカスピ海でなくても、可です。)
また「内科、小児科、アレルギー科など花粉症専門でない病院で治療したが、やっぱりダメだ。」と気づいて、あわてて耳鼻科の門をたたく、かかる病院間違えた型。
それから「中耳炎や、副鼻腔炎(蓄のう症)などを合併した。」ので来院した合併症型、などがあります。
この方たちの、治療と説明が一番大変です。一回の治療では、到底改善しませんし、生活指導も非常に、初歩的なレベルから説明しなきゃならない場合が多く、時間がかかり、骨が折れます。
この群がいわゆる「困った患者」[emoji:v-292]さんたちです。
皆さん、まだ間に合います。取り返しのつくうちに早く来院してください。で、我慢するなら最後まで我慢してくれ[emoji:e-2]
2008.03.11
本日来院した1歳の子供[emoji:e-260]。週末に、熱が出て、小児科受診。右の耳は赤く、左は水がたまってているといわれ、抗生剤などが出てる。昨日見てもらって、やはり同じ所見なので、耳鼻科に行くように言われた、とのこと。
フムフム、診てみましょう。てな感じで耳を覗いて、思わずふきだした。
耳垢でいっぱいで、ぜんぜん見えねーじゃん。[emoji:e-451]いったい、ナニ見てたんでしょう。
でも、こんなことはぜんぜん珍しくありません。
皆さん、小児科で中耳炎といわれたとき、あまり信用しないように。私の経験では、診断的中率は、ベテランの先生で5~6割、下手すると3割を切ります。まあ、私が心臓の聴診できないのと同じように(心室中隔欠損だのⅡ音の分裂だのわかんねー。)小児科医に鼓膜の所見を求めるのは、不可能でしょうけどね。
それにしても、わかんないときはわかんないって言えばいいのに(それとも、わかったと思ってるのか)。でも、耳鼻科に行くように言っただけ、この先生は良心的だったかも。
でも、意味のない抗生剤を4日間も飲まされちゃったわけだ。
外来の患者さんには、よくお話してるのですが、
「風邪のときは、(本当に風邪であれば)熱が39度でも40度でも抗生剤は、いりません!」
風邪ってウイルスだから、抗生剤は無効です。しかも、いらない抗生剤飲むと耐性菌(薬の効かない菌)が増えるので、本当に抗生剤が必要なときに効かなくなっちゃいます。
かつては、毎年のように抗生剤の新薬が出たので、「念のための抗生剤」、でもよかったのだが、もう10年以上抗生剤の新薬は出てないし、今後の発売予定も、とりあえず、ない。
だから「念のために」とか「とりあえず」なんて枕詞のついた抗生剤は飲まないほうがいいのだ。
(「とりあえず、生ビールで、[emoji:v-275]」ってのは好きです。)
でも、これはただの風邪です、といえることが大事なのだ。
耳鼻科になって、本当によかったなーと思うことのひとつが、子供の風邪のとき、小児科に比べて、圧倒的に診断力のあることです。得られる情報の量が、小児科とは比較になりません。特に、鼓膜、鼻腔、扁桃などをしっかり見られますし、インフルエンザや溶連菌感染の診断も、はるかに耳鼻科のほうが確実です。
以前は、耳鼻科の病気で、経過を見ていた子が、「熱が出たので、小児科にかかりました。」
といって、何も考えてないような処方箋を見せられて、がっかりしたものですが、最近は、熱が出たときに、まず耳鼻科に来ていただいて、きちんと診断を受ける患者さんが増えてきて、うれしいことです。
ともかく、子供の発熱は、まず耳鼻科へ。抗生剤は、風邪薬ではありません!
2008.03.10
本日来院した患者さんは、ご覧になったと思いますが診察室の院長、副院長のデスクの上にパソコン[emoji:v-216]が設置されました。
別に、診療時間中に、女性に交際を迫る脅迫メールを送るわけではありません。(あたりめーだ。)
当院は、インターネットから受付ができるので、患者さんの受付状況、来院情報をチェックするためです。
実は、暇だったら診察の合間にインターネットしたり、ブログ書いたりできるなーと思いましたが、
やっぱ、この時期は無理ですね[emoji:v-294]。本日も200人を越える来院で、受付ページを見てたら、いったん受付したものの、キャンセルされた方も多数おられ、まことに申し訳ありません[emoji:e-443]。明日は、火曜日なので多少すくかしら・・・。花粉症もすごいけど、インフルエンザもまだ結構多いですね。
実は当院の受付嬢も一人、本日インフルエンザと診断されました。
「あたし、絶対違うと思います。」
といってましたが、調べたらA型でした。(こっちも、忙しいけどなんとかするからゆっくり休んでね[emoji:v-400]。)
さて、開院以来13年、当院もだいぶIT化(この言葉って、もう死語?)されてきました。最初はブラウン管のレセコン(受付のコンピューター)のみだったのですが、そのレセコンも液晶化し、電子ファイバースコープを導入し、レントゲンもデジタル化して、フィルムレスになりました。
そして、今回デスクトップにパソコンが入ったので、次はそろそろ電子カルテですかね。
まだ、ソフトの「こなれ」が今ひとつなので、導入をためらっていますが、いずれ、カルテも電子化ということに近々なるでしょう。
問題点としては、打ち込みに時間がかかって、患者さんのほうを見る時間が少なくなってしまう恐れ。
診察中フリーズしてしまった時、どうするか。
トラブルで、データが消失あるいは閲覧できなくなった時どうするか。
あと、訓練の末、せっかく私のカルテの字が読めるようになった、受付の女の子の特殊文字解読技能が生かされなくなってしまうことですかね。
「先生、これってアスベリンですか?」
「えーアクディームって書いてあるじゃん。」[emoji:v-405]
2008.03.07
前回のブログで私のネクタイをしてる写真をアップしたところ
「かっこよかった。[emoji:e-266]」(原文にはハートマークなし)
と一部から意外なコメントがありました。
ありがとうございます。
実は私、普段ほとんどネクタイをしません。
仕事中は、ケーシー(あの、床屋さんが着るみたいなやつね)か、その上に長袖の白衣ですし、
普段はTシャツとかシャツにジーンズなので、どうも着慣れていません。
ネクタイするのは、葬式か結婚式か、学会、講演会など。でも、いつも娘に、似合わないと非難されています。
ちょっと前、耳鼻咽喉科の講演会で、耳鼻科や内科、小児科の先生方の前で中耳炎の講演をしました。講演会のあとの、懇親会で、座長をした足利○赤病院[emoji:v-100]のひげのS部長に
「いやー、小倉先生、スーツ似合わないねー。」
と、しみじみ言われてしまった。
(大きなお世話じゃ[emoji:e-262]。あんたのポニーテールよりはましじゃい。)
そういえば、かつてこんなことがありました。
やはり、講演会か、学会に行くので、夕方診察が終わってバタバタ支度をしてました。シャツを着て、ネクタイを締めて準備をしていたら、看護婦さんから連絡。
市内で眼科を開業してる某先生が のどに魚の骨を刺したので、取ってくださいとのこと。
まったく、もう忙しいのに・・・。時間がないので、シャツにネクタイの上から、そのまま白衣をはおって外来に。
まあ、骨はすぐ取れたんですが、そのときの私の姿を見た職員の、なんか珍しいモノを見るような視線。そして、一言・・・
「先生・・・。そのカッコ・・・、なんかドクターみたい・・・。」
ナーニ言ってんだ、俺は20年以上前から毎日ドクターじゃ[emoji:v-237]
要するに、彼女たちの中ではドラマとかに出てくる医者=ドクターなのだった。
そもそもあんな格好では、暴れまくる子供の耳垢は取れねーぞ[emoji:v-217]。
2008.03.04
先日のC.R.P.のライブ[emoji:v-266]に来ていただいた方ならわかると思いますが、私と、リードギターの土井先生は、ワイアレスシステムを使っています[emoji:v-269]。つまりギターとアンプをシールド(要するの電線の事、アヤちゃんはコードって言ってましたが)でつながずに、ギターに小さな送信機をつけて、無線で音をアンプのほうに飛ばすわけです。
これによって、プレイヤーは線から開放されて、飛んだり、はねたり、回転したり、私のようにギターソロを弾きながら観客席に飛び込んでいくこともできるわけです。
一度この味をしめてしまうと、もう元のようなシールドは使えません。しかも、使ってみて意外なメリットが発見されました。
昨年7月、熊谷の八木橋デパートで開催された「オヤジバンド大会」に出演したときのことです。7階だか8階だかに大きなホールがあって、そこでやったのですが、われわれのリハーサルの時、突然地震が襲ったのです。そう、あの新潟県中越沖地震です。何せビルの最上階だから、揺れる、揺れる。
ステージの上の大きな照明が一斉に振り子運動を始めました。[emoji:e-270]係りの人が
「早くステージから避難してくださーい。」
とマイクで叫んだので、私と土井先生はギターを持ったまま、すばやくステージから飛び降りて避難[emoji:e-282]。シールドのつながった前原先生は、逃げ遅れて、一人ステージに取り残されました。
まあ、結局照明は落ちてこなかったんですけど、おー、ワイアレスでよかった(前原先生、見殺しにしてごめんね。)と思ったりしたわけです。
また、やはり昨年8月に、野口医院の納涼祭で野外ステージに立ちました。そのとき、突然襲った雷雨[emoji:e-16]。近くに落雷もあり、音響もバリバリノイズが入って危険な状態。結局、ギターアンプは雨で2台つぶれてしまいましたが、後から考えると自分が感電しなくてよかったなーと[emoji:e-1]。
でも、ワイアレスだとアンプとはつながってないので、危険ははるかに少ないワケです。前原先生は100ワットとつながってたわけで、これは、危ない[emoji:v-40]!
てなわけで、地震にも雷にも強いワイアレス、最高っす。(ついでに火事[emoji:e-269]、オヤジ[emoji:v-509]はどうなんだ?おー、自分がオヤジバンドだ[emoji:e-462]。)
んでもって、この間のライブでこのワイアレスに非常に興味を示していたのが、見に来てくれた髭の紳士、ジャズ・ギタリストのA氏。
「小倉先生、どうなの、あのワイアレス。使いやすい?音とかシールドに比べて、どう?」
などと、興味津々。
すぐにも、試してみたそうな口ぶりだったけど、A氏のように、いつも静かに座ってギターを弾く人にはあまりワイアレスの意味がないのでは・・・[emoji:e-279]。