ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.03.23

秘伝の処方

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 花粉症はピークですが、鼻だけでなく目の症状を訴える方も当然たくさんいらっしゃいます。
 「目薬、出しましょうか?」
 「ああ、目薬は眼科さんのほうでもうもらってます。」
 「じゃあ、大丈夫ですね。一応カルテに書いときますので
 なんという目薬ですか。」
 「それが、何も書いてません。今、持ってますけど。」
 「えー、ちょっと見せてください。」
 なるほど、赤い蓋、緑の蓋、青い蓋のプラスチックのビンは
いわゆる汎用品で、メーカーの目薬を病院で中身を詰め替えたもの。
当然、何のラベルも表示もない。
中身はなんだか全くわからない。
容器代もかかるだろうに。(まさか患者負担ってことはないよね。)
 おー、今どきまだ、こんな医者いるんだー。
 かつて、お医者さんは処方の内容を明かさない、っていう時代がありました。
自分とこで乳鉢なんかで調合してた時代の名残りでしょうか。
軟膏や目薬を別の容器に入れ変えたり、PTPの薬の名前のとこをわざと切ったりしてました。
 軟膏、目薬なんかはかつてはラベルがあるにはあるが
一部しかくっついてなくて名札みたいにピラピラしていました。
それを、お医者さんがピッてちぎって出していたこともありました。
 しかし、時代は変わり、
患者さんの知る権利を尊重し、院外処方箋の普及もあって、
お医者さんで出た薬は、原則的にすべてわかるようになっています。
 個人的には、これ、とてもいいことだと思います。
 医療の透明性がますことにより、医療全体の質の向上につながると思います。
(まあ、抗がん剤など薬によっては簡単にはいかないものもありますが)
 実は、私が開業する時、最初は院内の処方だったのですが、
患者さんに薬の名前を知ってもらおうと、すべてに薬の名前と種類、効能などを書いた
タグをホチキスでとめて出してました。
 その後、そういう行為に対して保険点数をとってもいい、ということになり
多くの病院がやるようになって来ましたが、
ウチはその前からタダでやってました。
 その後、当院は院内処方から院外処方になったのですが、
その後も薬局にお願いして、患者さんに全部の薬がわかるようにしてもらってました。
今は点数化されたので、どこでもやってますけどね。
 患者さんにとって、自分が今飲んでる薬がわかるってことは
とても大事なことで、医者と患者の信頼関係にもつながります。
 
 そして、実は何といっても、院外処方のいい点(悪い点?)は、
プロが見るとその病院の医者のレベルがすぐわかっちゃうこと。
 いやー、毎日参考になってます(苦笑)。
納得したり、あきれたり、感心したり、ナンダこりゃーとクライ気持ちになったり・・・。
専門外のものは「ふむふむ」が多いですが、花粉症や風邪を含む感染症などは
ネガティブなサプライズが多いですね。
いやはや・・・、びっくりする処方ありますよ。
 個人的には「注射・点滴」も情報開示したほうがいいと思っていますが・・・。
反対する医者、多いだろうなー。
それでは、困るのですが。
 さて、話は戻って最初の三本のビン、患者さんが
「この赤いのはビタミン剤だっていってました。」
といってたので、花粉症にビタミンの点眼が必要かどうかはわからないが、
それはともかく、そーするとあと2本は
抗アレルギー剤と、抗菌剤、またはステロイド剤だろう。
「じゃあ、とりあえずそれ使っといてください。」
とは、言っときましたが。
 ただ、目薬の詰め替えは細菌混入の機会が増えるので、
情報開示がどうのの前に、やめた方がいいとは思いますね。

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