ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.06.13

昔のセリフ

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溶連菌感染症が流行ってますねー。
 毎日毎日たくさんの患者さんを診断しています。
 溶連菌感染症をご存じない方のために、簡単にご説明します。
 溶血性連鎖球菌という細菌の感染によって起こります。
症状は、発熱とのどの痛みで、風邪に似ています。
重症な場合は舌がイチゴ状に腫れたり、全身に発疹が出たりします。
しかし、風邪はウイルス感染ですが、こちらは細菌です。
抗生物質を10~14日のんで完全に除菌しないといけません。
 細菌はウイルスと違い、体に残ることがあります。
溶連菌が残った場合、繰り返し扁桃腺が腫れて高熱が出る習慣性扁桃炎になることがあります。
もっと、怖いのは扁桃に溶連菌が常にいることによって、
体の離れた場所に病気を起こすことがあります。
これを、病巣感染といい、具体的には腎炎や、この間ブログに書いた掌蹠膿庖症などがあります。
 こういった場合に扁桃腺を取る手術をしなければなりませんが
腎炎になってしまった場合など、手術をしても完治が難しいこともあります。
 診断は、のどを見て特有の所見から疑いがあれば、迅速キットを用いて検査をします。
10~15分くらいで、すぐその場で結果が出ます。
 のどの所見は耳鼻科医が見れば、かなりわかるのですが、
大事なことは常にそういうものに疑いを持つことで、
どうかなーと思うものでも調べてみると陽性、ってことが結構あります。
 最近困っちゃうのは、最初小児科にかかってて、抗生物質が出ちゃってる場合。
のど見るとそれなりに疑わしいが、抗生物質のせいで検査しても結果が出ない。
抗生物質は風邪ならいらないが、溶連菌だったらここで切るわけにいかない。
 小児科医がすぐ抗生物質を出すのは、やっぱ、自分の診断に自信がないからでしょうね。
もし、扁桃炎(溶連菌)だったら困るから、中耳炎だったら困るから・・・etc.
 先日来た患者さんで、小児科でヘルパンギーナといわれて薬飲んでました、という方が来ました。
おお、ヘルパンギーナとはあの某先生も診断力がアップしたじゃん。
で、処方を見ると「トミロン」!
抗生物質じゃん。
「ヘルパンギーナっていわれたんだよね、確かに。」
「はい、でも2次感染を予防するために、抗生剤出しとくから、
熱がある間は飲んでね、っていってました。」
 ああ、2次感染、
俺も若い頃自分の診断に自信がない頃、そんな言い訳を言って抗生剤出したことあったなー。
なんか自分の、恥ずかしい過去を暴かれたような気まずい気持ちになりました。
まったくの、詭弁です。お恥ずかしい。
まあ、昔はそれでもよかったんだけど、耐性菌が蔓延するこの時代に
まだそんなこと言ってる医者がいるとは・・・。
 ヘルパンギーナ、手足口病の類は高熱が出ますが、ほっとけば2日以内に必ず解熱します。
ウイルス性ですからもちろん抗生剤はまったく効かないばかりか、
耐性菌を増やしたり、合併症を隠蔽するので飲まない方がいいです。
絶対、熱下がるからもっと自信もって診療してくれー。

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