ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.05.03

いまどきの中耳炎

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 明日から連休なので、昨日今日は忙しかった。
特に、昨日の午後は待ち人数が90人を記録して、花粉症の時よりも多かった。
 ところで、最近、小さい子の中耳炎、多いですねー。
 理由、なんだと思いますか。
答え1.「最近、寒暖の差が激しく、体調を崩したり、布団はいで、寝冷えなどが多いため。」
うーん、これありますねー。
寝てる時暑くって、布団はいじゃったり、布団から飛び出しちゃったりしますよね。
大人は、無意識に布団引っ張ってかけたりしますが、小さい子はそのままですからねー。
答え2.「花粉症から副鼻腔炎になってしまい、中耳炎になる。」
これも、ありますねー。今年花粉症、ひどかったからねー。
でもこれはどっちかというと、小学生とか、幼稚園でも年長さんとかの、
やや大きい子の中耳炎ですね。ハナを強くかみすぎたりすると、大人でもあります。
答え3.「溶連菌感染症がはやってるので。」
うーん、これは苦しいですね。溶連菌、確かに多いですけど
アデノウイルスやEBウイルスと違って上咽頭(アデノイド)あまり腫れませんので
中耳炎には必ずしも結びつきませんね。
だから、この答えは、ボツです。[emoji:v-358]
さあ、何かほかに思いつきませんか。
答えは、「新学期が始まって少したったから」
 えー、何のことー
 もっと、具体的にいうと中耳炎になってる子の多くは
「この4月から、保育園、幼稚園に行き始めた子たち」です。
さらに、拡大すると、それに
「および、その兄弟」
を付け加えてもいいかもしれません。
 ご存知のように我々の体には「免疫」というしくみがあって
体に侵入する病原体をやっつけるシステムがあります。
 しかし、そのシステムが機能するためには、体が一度その病原体を認識しなければなりません。
その情報によって体はその外敵をやっつける物質を作るわけです。
予防接種はこれを利用しています。
 大人は一通りの風邪のウイルスに対して、大体の経験があるので、
よっぽど、体調が悪いとか、ウイルスの量が多くないと風邪を引きません。
(医者は、特に耳鼻科医は、いっぱい病原体に接しているので、
めったに熱の出るような風邪を引きません。
私は、今シーズンインフルエンザの予防接種をしそこなっちゃいましたが
あれだけ、インフルエンザの患者さんを診察してもうつりませんでした。
実は、注射、キライだから、逃げていたという話もある。)
 ところが、初めて集団生活をする子供たちは、
そういった病原体に対しての経験がないわけですから、感染してしまうわけです。
 子供の風邪も、対症的に治るのを待てばいいわけですが、
その後に、ハナが続くことが多いので、中耳炎になることが多いわけです。
 すなわち、①保育園に行き始める
        ⇒②1週間くらいで風邪をもらう
          ⇒③熱はすぐ下がるがはなが続く
            ⇒④1~2週間で耳に行っちゃう
 ってのが、ちょうど今頃なわけです。やれやれ。
 上の②の段階で、小児科で抗生剤なんかが出されちゃうとさらにややこしい。
 熱が出たって、風邪なんだから、抗生剤出すなよなー。まして0歳の子に。
 今日来た7ヶ月の子は熱が出た日にA小児科に行って
「突発性発疹の疑いもありますけど、風邪だから抗生物質のみましょう。」
といわれた。
翌日、熱が高いので解熱剤をもらおうと思ったがA小児科が休み、
そこでB小児科に行ったら、前の小児科の薬がわからないからといわれ、
また抗生物質を含む処方が出た。
 で、結局3日後に発疹が出て、突発性発疹でした、という話。
 ひでー話だ。[emoji:v-412]
まず、よーく診てあげて、とりあえず抗生剤とかなしで、待ってればいいのよ。
体が、戦ってるんだから。
負けそうになったら、手を貸してあげる。
 んでもって、その子は、ハナ、咳が続くので、今日ウチ来たら中耳炎あり。
抗生剤も中途半端に入ってるので、いつからあった中耳炎かわからない。
おまけに、お母さんが、今日検査したら溶連菌だったので、
そっちも赤ちゃんにあったかも、という謎が謎を呼ぶ、入り組んだ状況になってしまった。
 でも、何だかんだでともかく耳鼻科に来れて、よかったね。
これからは、ダイジョブですから。

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