ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2019.07.02

「じめじめ」「むしむし」「しとしと」

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梅雨になり、散歩で外に出る前には

必ず天気予報を聞くようにしている。

気象予報士の方からは

「じめじめします」とか「むしむしします」

などというコメントが、良く聞かれる今日この頃だが、

考えてみるとこの2つ重ねる「擬態語」「擬音語」は日本語には極めて多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キラキラ」「ギラギラ」「チカチカ」「テカテカ」「ピカピカ」は

いずれもモノが光っている様子を表す言葉であるが、

その光り方が違う、という感覚は小学生でもわかる。

転じて、ヒトの様子を表す場合も、

「彼はキラキラしている」と、

「彼はギラギラしている」

では、伝わる印象が全く違うことは明らかである。

「テカテカの一年生」ではちとマズイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ネバネバ」「ネトネト」「ベトベト」はいずれも、粘り気のある様だが、

さわったとき、「ネバネバ」は指につくが、「ネトネト」は指にはついてこない。

「ベトベト」は何かの表面部分だけが粘り気を持っている印象で、

「ペンキ塗りたて」は「ベトベト」ではあるが「ネバネバ」ではない。

また「ギトギト」となると、なんかアブラっこいものが光を反射するイメージがある。

二文字の反復だけでこれだけニュアンスが伝わるってすごいこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨も「ぱらぱら」「しとしと」「ざーざー」などの表現がありますね。

ムカシは「しょうしょう」というのもありましたが、

最近は文学作品以外は使われません。

国語の教科書に出てきた三好達治の『大阿蘇』の

「雨は蕭蕭(しょうしょう)と降っている」という一文で、

映画の1シーンのように、雨にけむる草千里の音と映像とが浮かぶのは

擬音擬態表現の極致です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食事を食べるのにも

「ぱくぱく」「むしゃむしゃ」「がつがつ」「もりもり」「ぼそぼそ」

などあり、すぐイメージがわきます。

お茶漬けは「さらさら」だし、麺類は「つるつる」

あるいはもっとおちょぼ口で「ちゅるちゅる」食べる場合もあります。

どんぶり飯などを、かきこみながら食べるさまを

「わしわし」と表現したのはたしか椎名誠氏だったか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかも、この「擬態語」「擬音語」は、次々に新しく生まれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつて「ぴちぴち」だった女子高生は

80年代ころから「るんるん」や「ぶりぶり」であったが、

90年代ころからは「きゃぴきゃぴ」になってきた。

最近はなんていうんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くたくた」や「へとへと」はワタシが子供のころからある表現ですが、

「ぐでぐで」や「へろへろ」は、おそらくあとから生まれた表現です。

いっぽう、「ぐでんぐでん」は酔っ払いの表現としてムカシから使われますが、

ある時期から「べろべろ」の方が台頭してきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パソコン処理などで使われるようになった「サクサク」は、

かつては野菜などを切る「擬音語」であったが、

近年、簡単にどんどんはかどる様子を表現する「擬態語」になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こういった、言語感覚は若い人の方が鋭く、

かつての「バリバリ」や「イケイケ」から、

最近では「アゲアゲ」や「きゅんきゅん」も若者言葉からですね。

新語、新表現もどんどん生まれている。

以前まだ、子供が小学生のころスイミングから帰ってきて

「耳が『ボハボハ』する。」

と、表現したが、なるほど、伝わるなーと思ったものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 語学は専門ではないので、

詳しいことは分からないのだが、

おそらく日本語は世界的にみてもこの「擬声語」「擬態語」が、

きわめて多用される言語なのではないか。

英語の「cry」「weep」「sob」などは、日本語的にはすべて「泣く」あるが、

これを日本語では

「ぎゃんぎゃん」「わんわん」「えんえん」「しくしく」「めそめそ」「ぐすぐす」「はらはら」

などの言葉で、細やかに使い分ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 てなことを「つらつら」考えながら「てくてく」歩いていると、

石段を上る段になって、またまたレディアが「じりじり」と後ずさりし

「ミシミシ」を始めたので、これ以上の散歩をあきらめ

「すごすご」と帰路につく。

「ウキウキ」した様子で家路を急ぐレディアの「プリプリ」した後姿を見ながら

「とぼとぼ」歩いていると、

こいつ、もうすぐ夏だというのにいまだ「モフモフ」だなあ、

などと思うのである。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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